沈んでいく。深く。深く――





  深海の世界





 人間の6割は水で出来ている。
 特に、中身はいらない。
 水と海と溶け合って、それがすべてになってしまえば。
 この世界になれる。

「ヤメテ」

 誰かが求めるものは、ただの外側。
 ならば、最初からなければよかった。
 最初から、いらなかった。

 誰も、見ていなかった。

 意識を溶かして。
 青い、青い。深い、深い、不快。
 何も見えない。何も見ない。
 何も聴こえない。
 ふかい、そこ。

 ゆらめいて。きらめいて。

 手放せば、そこで、きっと、世界になれる。
 私はいなくなる。





 海へと身を投げた。
 体を欲しがる人はいたけれど、誰も心なんて必要としてなかった。私は、なんだろう?
 ゆらゆらと、きらきらと、青い光が輝いて。
 私の躯は深く深くへと沈んでいく。
 そういえば、人間の6割は水で出来ているらしい。
 ならば、この海とひとつに溶け合うことはできるかしら?
 意識を手放して、海とひとつに――




 抽象的過ぎて。
 後半のは前半のをちょっとだけわかりやすくしてみたもの?


――――2014/06/30 川柳えむ