グローリ・ワーカ   第10章:罠と罪と罰

「で。そんな感じで、アリちゃんもシリアちゃんもいなくなっちゃったの?」
 アルトは牢の中、これまでの状況をマニュアに尋ねた。
 アルトを助けに来るまでに、全員と逸れてしまったとは――。
「うん……まぁ、そんな感じだね。ピュウもいないけど」
「え!? シザーバッグのピュウまでいないの!?」
 驚いて声を上げるアルト。
「案外、大変だったんだね……」
「うん……。とりあえず、脱出しようか。で、みんなを探しに行かないと」
 マニュアは立ち上がった。
「それにしても、私、結局どれくらい眠ってたんだろう? それほどでもない?」
「たぶん、まだ君が攫われた日の夜だとは思うよ。実際、どれくらいかは分からないけど……」
 そんなこんなで、2人は立ち上がり、元気良く腕を突き上げた。
「「よし! レッツ・ゴー!!」」
「ところで――」
 アルトがマニュアの顔を覗き込んで尋ねる。
「――どうやってここに入ってきたの?」
 マニュアは廊下の方を指差した。
「……ホラ。見張り、寝てる……」
 鉄格子から廊下を覗き込むと、たしかに、牢の見張りは眠りこけていた。
「のんきだなぁι」
 アルトはおもわず感嘆と呟いた。
「で、この鍵盗ってきちゃったわけさ! では、あらためて、行くよ!」
 マニュアはアルトを開いた鉄格子から出るよう促した。
 そして、マニュアは――アルトに1つだけ伝えていないことがあった。