グローリ・ワーカ   第10章:罠と罪と罰

「あ、あのー……」
「なんだぁ……!?」
 まだ眠そうな見張りをティルが呼ぶ。しぶしぶ牢の前にやって来る。
「えーっと……実はぁ……」
「なんだ?」
「えー、えーっと……そのー……」
 なかなか用を言わないティルにイライラして、見張りは怒鳴った。
「えぇい! いったいなんだって!?」
「それは――」
 ティルの言葉に続けて、誰かの声が――。
「――こういうこと!」
 ドガッ!!
 見張りは倒れた。
 その後ろから、マニュアとアルトが姿を見せる。
「よし! ティルちゃんに気を取られているうちにボコボコ作戦成功!」
 マニュアが手に拳を作ったまま言う。
「ナイスっ! やったね! WINNER〜♪」
 アルトも嬉しそうに腕を突き上げた。
「いやー鍵がこっちにあるのに気付いてなかったからね。あっさり出られたし」
 鍵を振り回すマニュア。
「でも、焦ったよー。見張りが怒鳴るんだもん。怖かったー」
 そう言うティルに、マニュアは鉄格子の扉を開けながらも意地悪そうに、
「いや、でも、本当は、ティルちゃんに色仕掛けでもしてもらおうかなーなんて思ったけど。見られなくて残念」
「色仕掛けする必要ないでしょー!? マーがやってよおぉ!」
 気付けば呼び方が変わってる気がするが気にせず。
「お色気は私には無理だ! きっぱりと!」
 自分で言うマニュアだった。
「とにかくー! 行こう! ストームたちが危ないかもしれないんでしょ!? 気付いたらいなくなってたし!」
「あ、そうだった! マニュちゃん、早くしないと!」
 ティルとアルトに言われ、急いで脱出する3人だったが――。
「――で、どっち行けばいいんだ?」
 すぐさま行き詰るのであった。