グローリ・ワーカ 第11章:自分VS自分
ここは魔王城――。
マニュアたち一行は、誘拐されたアルトを助けるために、早くも魔界にある魔王城に乗り込んだ。
しかし、そこに待ち構える罠の数々。
バラバラになってしまったパーティーだったが、なんとか、マニュア、アルト、ティルは合流することに成功したのだった――。
「おぉぅ。珍しくすっごくちゃんとした出だしだ!」
そんなツッコミはいらん!
……マニュア、アルト、ティルの3人は、ティルの呼び出した鳥形の魔物――ラウムに、他の仲間の行方を探ってもらっている最中だった。
下手に動いてもまずいと思い、誰もいない部屋を見つけて、そこで隠れつつ待機していた。
「でもさ、ここにいて大丈夫? 誰か入ってきたりしないの?」
アルトが部屋を見回して尋ねる。
部屋にはベッドと机が1つずつ。そして、ゴタゴタとたくさんの本やぬいぐるみ、その他いろいろなものが置かれていた。
子供部屋だろうか?
「大丈夫でしょう。もう今さら、誰もこんな部屋に来ないよ、きっと」
マニュアが言う。
「こんな部屋って――?」
アルトの問いに、マニュアはふっと笑うと、
「これでも減ってるんだよ、物は。だって、もっとたくさんの本やぬいぐるみがあったもの。少し片付けられちゃったみたい」
「え? それって――」
マニュアは、部屋にある窓から外を見た。懐かしい景色に目を細める。
「――ここは、私の部屋だったから」
「「えぇ!?」」
ティルとアルトの驚きの声。
――じゃあ、もしかして、やっぱり、マニュアって実は……!?
マニュアは続けた。
「えっと、まぁ…………実は、ここの城の一角に、うちの家族は住んでたの。少し行ったところにはシリアの部屋があるよ」
「あ、もしかして、シリアって部屋にいたりしないのぉ?」
ティルが訊く。
マニュアはその問いに首を振ると、
「いや……。とりあえず、下手に動かない方がいいでしょ。罠があるかもしれないし」
正直なところ、今はまだ、シリアに会いたくないという気持ちだった。恨まれているところをみんなに見られたくなかった。
「ふぅん……」
マニュアの微妙な雰囲気を感じ取ってか、ティルは曖昧な返事をした。
そして、その辺にあるぬいぐるみを見つけると、
「かわいー!」
と抱き締めてみた。
アルトは部屋にある本を適当に開いてみる。
マニュアはぼけーっと外を眺めていた。冷たい風が頬を撫でる……。
と、そこへ、
「ん……? あれは……」
城の壁を滑るように、こちらの窓へ向けて飛んでくる影があった。――鳥のようだが……。
ティルが外を覗く。
そして、その影を確認すると、その名を呼んだ。
「ラウム!」
1羽のラウムは部屋に入って翼を畳むと、ティルに何かを告げた。
ティルの話によると、
「ストームじゃなかったけど……2人の人間を見つけたみたい。1番西側の小さなスペースだって」
マニュアは、その言葉に、
「小悪魔用の部屋かな? ……もしかしたら、玩具にされて殺されちゃうかも……」
「「えぇぇぇぇぇぇ!!??」」
3人は顔を見合わせて頷くと、
「行くよ!」
「急ぐぞ!」
「おー!」
拳を突き上げた。
そして、ティルは窓の外に向かって、
「ラウム――――!」
そう声を上げると、先ほど呼び出したラウムたちが一斉にティルの元へと戻ってきた。
そのうちの1羽の上に、ティルは飛び乗ると、
「さぁ、マニュアちゃんたちもそれぞれ乗って! ラウムに連れてってもらうよー!」
と促した。
マニュアとアルトはその様子を見て、
「「ティルちゃんすげぇ……」」
と呟くしかなかったのだった。
ここは魔王城――。
マニュアたち一行は、誘拐されたアルトを助けるために、早くも魔界にある魔王城に乗り込んだ。
しかし、そこに待ち構える罠の数々。
バラバラになってしまったパーティーだったが、なんとか、マニュア、アルト、ティルは合流することに成功したのだった――。
「おぉぅ。珍しくすっごくちゃんとした出だしだ!」
そんなツッコミはいらん!
……マニュア、アルト、ティルの3人は、ティルの呼び出した鳥形の魔物――ラウムに、他の仲間の行方を探ってもらっている最中だった。
下手に動いてもまずいと思い、誰もいない部屋を見つけて、そこで隠れつつ待機していた。
「でもさ、ここにいて大丈夫? 誰か入ってきたりしないの?」
アルトが部屋を見回して尋ねる。
部屋にはベッドと机が1つずつ。そして、ゴタゴタとたくさんの本やぬいぐるみ、その他いろいろなものが置かれていた。
子供部屋だろうか?
「大丈夫でしょう。もう今さら、誰もこんな部屋に来ないよ、きっと」
マニュアが言う。
「こんな部屋って――?」
アルトの問いに、マニュアはふっと笑うと、
「これでも減ってるんだよ、物は。だって、もっとたくさんの本やぬいぐるみがあったもの。少し片付けられちゃったみたい」
「え? それって――」
マニュアは、部屋にある窓から外を見た。懐かしい景色に目を細める。
「――ここは、私の部屋だったから」
「「えぇ!?」」
ティルとアルトの驚きの声。
――じゃあ、もしかして、やっぱり、マニュアって実は……!?
マニュアは続けた。
「えっと、まぁ…………実は、ここの城の一角に、うちの家族は住んでたの。少し行ったところにはシリアの部屋があるよ」
「あ、もしかして、シリアって部屋にいたりしないのぉ?」
ティルが訊く。
マニュアはその問いに首を振ると、
「いや……。とりあえず、下手に動かない方がいいでしょ。罠があるかもしれないし」
正直なところ、今はまだ、シリアに会いたくないという気持ちだった。恨まれているところをみんなに見られたくなかった。
「ふぅん……」
マニュアの微妙な雰囲気を感じ取ってか、ティルは曖昧な返事をした。
そして、その辺にあるぬいぐるみを見つけると、
「かわいー!」
と抱き締めてみた。
アルトは部屋にある本を適当に開いてみる。
マニュアはぼけーっと外を眺めていた。冷たい風が頬を撫でる……。
と、そこへ、
「ん……? あれは……」
城の壁を滑るように、こちらの窓へ向けて飛んでくる影があった。――鳥のようだが……。
ティルが外を覗く。
そして、その影を確認すると、その名を呼んだ。
「ラウム!」
1羽のラウムは部屋に入って翼を畳むと、ティルに何かを告げた。
ティルの話によると、
「ストームじゃなかったけど……2人の人間を見つけたみたい。1番西側の小さなスペースだって」
マニュアは、その言葉に、
「小悪魔用の部屋かな? ……もしかしたら、玩具にされて殺されちゃうかも……」
「「えぇぇぇぇぇぇ!!??」」
3人は顔を見合わせて頷くと、
「行くよ!」
「急ぐぞ!」
「おー!」
拳を突き上げた。
そして、ティルは窓の外に向かって、
「ラウム――――!」
そう声を上げると、先ほど呼び出したラウムたちが一斉にティルの元へと戻ってきた。
そのうちの1羽の上に、ティルは飛び乗ると、
「さぁ、マニュアちゃんたちもそれぞれ乗って! ラウムに連れてってもらうよー!」
と促した。
マニュアとアルトはその様子を見て、
「「ティルちゃんすげぇ……」」
と呟くしかなかったのだった。