グローリ・ワーカ 第1章:出会い
「やったー!!!! 無事着いたぁぁぁぁ!!」
町へ着くなり、大声を上げるマニュア。
けっきょく森ではなんとも運が良く、魔物1匹すら遭わずに、無事ティロまで辿り着いてしまった。つまらん。
「ちょっと待て! 最後の余計な一言はなんだ!!」
フフフ。
「しかし、疲れたー! 早く宿決めてよー」
ちょっと待てぃ。ナレーションに宿決めさせるとか、前代未聞だぞ!?
「もうなんでもいいよー」
そうか、ボロボロ廃屋のお化け屋敷みたいな宿でもいいのか。
「それはそれで面白そう」
…………じゃぁ、そこで魔物に八つ裂きにされるシナリオで進めるね。
「ごめんなさい。調子に乗りました」
よろしい。
「それにしても……お金ないや、少ししか……。50Cしかないっすよ……」
Cとはこの世界でのお金の単位だ。国ごとに違わないか? と訊かれると、違わないのである。
だいたい1C=10円くらいだと思ってもらえるといい。
「こんなんじゃ泊まれないよね……_| ̄|○」
がっくりと膝をつく。最近の世の中は顔文字があって便利だと思った。
うん、まぁ、とりあえず。泊まれないね。ボロボロ廃屋のお化け屋敷みたいな宿くらいなら泊まr――
「遠慮します。あぁ、どうすりゃいいんだ……」
宿に泊まれなくても手段はある。野宿だ。
しかし、野宿ということは、いつ魔物に襲われてもおかしくはない。
数人いるパーティーならば1人ずつ交代で見張りをすればいいものだが、マニュアはまだピュウしか連れていない。
「ピュウ、ピュー……」
「ん? 見張りしてくれるって? いいよ、大丈夫。ありがとうねー」
励ますように鳴くピュウの頭を、マニュアはポンポンと優しく撫でた。
「さて、どうしたもんか……。あと、あるとしたら――」
ほかの手段といえば、とうぜん、お金を稼いで宿に泊まることだ。
日払いのバイトなんてのもあるかもしれないが、ここは冒険者らしく懸賞金のかけられた魔物退治がベターだろう。
「日払いのバイトするかー」
冒険者らしくNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!
考えのまとまらないマニュア。町の入口に突っ立ってあーだこーだやっていると、町の奥のほうからなにやら地響きが聞こえてきた。
「ん?」
ドドドドドド……。
なんだかだんだんと近付いてきているようだが……。
「なに?」
砂煙を上げ、奥から姿を現したものは――
「あ、あそこにいるお方は!? 見るからに冒険者っぽい!」
「だが、まだまだガキんちょじゃないか!?」
「いやいや、背に腹は変えられんじゃろ!!」
「助けてくだされ~~~~!」
「え? なんかイヤな予感」
マニュアの視線の先、そこには……どう見ても非力なただの町の人。町人Aとか名前がつきそうなタイプの人々が見えた。
「こ、この展開は……」
町人は突進してきたかと思うと、あっという間にマニュアを取り囲んだ。
「ヒィッ!!!! すいません! 宿にタダで泊まる気なんて、ちょこっとしかありません!!」
おもわず謝ってしまうマニュア。って、おまえ、タダで泊まる気だったんか……。
そんな言葉は耳に入っておらず、町人はいっきにまくしたてた。
「冒険者の方ですね!?」
「え、あ」
「魔物が町を襲うんです!!」
「な」
「どうか助けてください!」
「ちょ」
「さぁ、こちらです!!!!」
「はい!? ま、まっ…………!!!!」
ところどころに入っている情けない声は、とうぜんマニュアの声。
町人は返事をする間も与えず、マニュアを魔物のところまで引きずっていくのだった。
「たーすーけーてぇぇ~~~~」
「やったー!!!! 無事着いたぁぁぁぁ!!」
町へ着くなり、大声を上げるマニュア。
けっきょく森ではなんとも運が良く、魔物1匹すら遭わずに、無事ティロまで辿り着いてしまった。つまらん。
「ちょっと待て! 最後の余計な一言はなんだ!!」
フフフ。
「しかし、疲れたー! 早く宿決めてよー」
ちょっと待てぃ。ナレーションに宿決めさせるとか、前代未聞だぞ!?
「もうなんでもいいよー」
そうか、ボロボロ廃屋のお化け屋敷みたいな宿でもいいのか。
「それはそれで面白そう」
…………じゃぁ、そこで魔物に八つ裂きにされるシナリオで進めるね。
「ごめんなさい。調子に乗りました」
よろしい。
「それにしても……お金ないや、少ししか……。50Cしかないっすよ……」
Cとはこの世界でのお金の単位だ。国ごとに違わないか? と訊かれると、違わないのである。
だいたい1C=10円くらいだと思ってもらえるといい。
「こんなんじゃ泊まれないよね……_| ̄|○」
がっくりと膝をつく。最近の世の中は顔文字があって便利だと思った。
うん、まぁ、とりあえず。泊まれないね。ボロボロ廃屋のお化け屋敷みたいな宿くらいなら泊まr――
「遠慮します。あぁ、どうすりゃいいんだ……」
宿に泊まれなくても手段はある。野宿だ。
しかし、野宿ということは、いつ魔物に襲われてもおかしくはない。
数人いるパーティーならば1人ずつ交代で見張りをすればいいものだが、マニュアはまだピュウしか連れていない。
「ピュウ、ピュー……」
「ん? 見張りしてくれるって? いいよ、大丈夫。ありがとうねー」
励ますように鳴くピュウの頭を、マニュアはポンポンと優しく撫でた。
「さて、どうしたもんか……。あと、あるとしたら――」
ほかの手段といえば、とうぜん、お金を稼いで宿に泊まることだ。
日払いのバイトなんてのもあるかもしれないが、ここは冒険者らしく懸賞金のかけられた魔物退治がベターだろう。
「日払いのバイトするかー」
冒険者らしくNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!
考えのまとまらないマニュア。町の入口に突っ立ってあーだこーだやっていると、町の奥のほうからなにやら地響きが聞こえてきた。
「ん?」
ドドドドドド……。
なんだかだんだんと近付いてきているようだが……。
「なに?」
砂煙を上げ、奥から姿を現したものは――
「あ、あそこにいるお方は!? 見るからに冒険者っぽい!」
「だが、まだまだガキんちょじゃないか!?」
「いやいや、背に腹は変えられんじゃろ!!」
「助けてくだされ~~~~!」
「え? なんかイヤな予感」
マニュアの視線の先、そこには……どう見ても非力なただの町の人。町人Aとか名前がつきそうなタイプの人々が見えた。
「こ、この展開は……」
町人は突進してきたかと思うと、あっという間にマニュアを取り囲んだ。
「ヒィッ!!!! すいません! 宿にタダで泊まる気なんて、ちょこっとしかありません!!」
おもわず謝ってしまうマニュア。って、おまえ、タダで泊まる気だったんか……。
そんな言葉は耳に入っておらず、町人はいっきにまくしたてた。
「冒険者の方ですね!?」
「え、あ」
「魔物が町を襲うんです!!」
「な」
「どうか助けてください!」
「ちょ」
「さぁ、こちらです!!!!」
「はい!? ま、まっ…………!!!!」
ところどころに入っている情けない声は、とうぜんマニュアの声。
町人は返事をする間も与えず、マニュアを魔物のところまで引きずっていくのだった。
「たーすーけーてぇぇ~~~~」