グローリ・ワーカ 第20章:最終決戦
その闇は、たぶん、時間にすればほんの一瞬の出来事だった。
(どうして、今頃、そんなこと……?)
胸がざわつく。悲しい気持ちに襲われて、マニュアは胸元を押さえた。
そして、闇が晴れた光の中、マニュアの目に四天王の姿は映らなかった。なぜなら、実際にそこに存在していなかったのだから。
「え…………?」
「よ、4人、は……?」
アルトが訊く。ただ、なんとなくは気付いていたのだろう。その声は小さく、恐る恐るといった感じだ。
「……冥土へ送ってやったのさ」
義父は事も無げに言った。
「私たちがやって来る前も、おまえらなんかと遊んでいる始末。役立たずなど必要ない」
ある意味、こちらにとってもラッキーだったであろう。戦う相手が減ったのだから。
しかし、マニュアは――。
「――……ミンミ……ン……。……うわああああぁぁっ!!!!!!」
突然発狂して、義父に飛び掛った。
そんなことくらいで倒せるわけがないのはわかっている。しかし、今のマニュアはそんなこと考えている余裕もなく――いや、考えることができず、ただ、無我夢中だった。
「……どうしてだ?」
義父が冷たく突き刺すような声で問う。マニュアは身を震わせ、顔を上げた。
「どうしてだ? おまえたちの敵を私が倒してやったのだ。手間が省けたことだろう。……なのに、どうして怒るんだ?」
マニュアはじっと義父を見つめた。しかし、マニュアの視界は歪んでいて、義父の顔がはっきりと見えない。そこで、マニュアは初めて自分が泣いていることに気付いた。
「どうして泣くんだ?」
義父が再び聞いた。マニュアはまた頭を垂れ、首を振った。
そして、静かに答えた。
「――シリアと同じ……。また、私が裏切ってしまった。傷付けた。……本当は、大切な人だったんだ。大切な人なのに、失ったんだ……。親友、だったのに……!」
「「「「「「「ええええっ!!??」」」」」」」
みんなが驚いて声を上げた。
「えっ!? なになに!? どうしたのっ!?」
「なんだ?」
アリスと魔王だけが不思議そうな顔をしてやって来た。――まだ続けてたのか。
そのアリスに、ヤンが告げる。
「あ、ヘイズル。キリオミなら消えたぞ」
アリスの反応はというと、
「えぇっ!? 本当!!??」
目を輝かせて聞き返した。……嬉しそうである。
「あぁ、でもよ……」
そう言ってヤンは、ふぅっと溜め息をついた。
「え? なに?」
不思議そうなアリスに、ヤンは少し悲しそうな表情で、
「いや、それがよー……。そいつが、リーダーの親友――」
「ちゃうわ――――っっ!!!!」
すかさずマニュアがツッコんだ。
「な、なんだ!?」
目を丸くして驚くヤン。
「親友だったのはミンミン!! 考えりゃわかるだろー!?」
「そ、そうだったのか……」
またマニュアとヤンの漫才か!? しかし、ヤンがボケとはちょっと珍しいな!
「……ムカ。……って、はっ!? な、なんで私がムカついて……!?」
嫉妬の炎がメラメラなアリス。
「ちょ、ちょっと!?」
「え、なに? アリちゃんも漫才やりたいって? ……って、あぁっ! もしや……!!」
マニュアは今頃気付いたようだ。
「え、えぇっ!? ま、まさかぁ……。ウソ……」
「アリちゃん!?」
ティルやアルトも、今頃になって……。
「ち、ちょっと待ってよ――!! 何に気付いたの!! 何にっ!?」
アリスが慌てて否定(??)する。
「照れちゃってー」
マニュアが冷やかす。
「え……? ヘ、ヘイズル……?」
ヤンがどぎまぎしながらアリスを見る。
「え、な、なにっ!? 何の話よぉ~っ!!?? え、サンドッ!?」
……壊れてきたアリス。
「……オイ」
ストームも嫉妬してか、横から口を挟もうとする。しかし、それよりもストームは、アルトとティルどっちが――、
「あほかぁっ!! な、何の話だぁ!!」
ストームも否定!?
「ハァ……。最終決戦だよな……?」
ニールは誰に問うでもなく、呆れたように呟いた。自分は関係ないとでも思っているのだろうか!
「そうだよね、ニールは別に……。うん……」
「なんだ?」
「え、あ、別になんでもないよっ!!」
謎なマニュア。ニールは当然不思議そうな顔をしている。
「――って! また話がズレてきてるよぉ!?」
ティルがツッコむ。ちなみに、ティルの腕の傷は、さっきみんなの気がいろんな方向に逸れているうちに、ヒナがしっかりと治していた。
「……本当にないんだな、緊張感…………」
魔王が大きく溜め息をついた。
その闇は、たぶん、時間にすればほんの一瞬の出来事だった。
(どうして、今頃、そんなこと……?)
胸がざわつく。悲しい気持ちに襲われて、マニュアは胸元を押さえた。
そして、闇が晴れた光の中、マニュアの目に四天王の姿は映らなかった。なぜなら、実際にそこに存在していなかったのだから。
「え…………?」
「よ、4人、は……?」
アルトが訊く。ただ、なんとなくは気付いていたのだろう。その声は小さく、恐る恐るといった感じだ。
「……冥土へ送ってやったのさ」
義父は事も無げに言った。
「私たちがやって来る前も、おまえらなんかと遊んでいる始末。役立たずなど必要ない」
ある意味、こちらにとってもラッキーだったであろう。戦う相手が減ったのだから。
しかし、マニュアは――。
「――……ミンミ……ン……。……うわああああぁぁっ!!!!!!」
突然発狂して、義父に飛び掛った。
そんなことくらいで倒せるわけがないのはわかっている。しかし、今のマニュアはそんなこと考えている余裕もなく――いや、考えることができず、ただ、無我夢中だった。
「……どうしてだ?」
義父が冷たく突き刺すような声で問う。マニュアは身を震わせ、顔を上げた。
「どうしてだ? おまえたちの敵を私が倒してやったのだ。手間が省けたことだろう。……なのに、どうして怒るんだ?」
マニュアはじっと義父を見つめた。しかし、マニュアの視界は歪んでいて、義父の顔がはっきりと見えない。そこで、マニュアは初めて自分が泣いていることに気付いた。
「どうして泣くんだ?」
義父が再び聞いた。マニュアはまた頭を垂れ、首を振った。
そして、静かに答えた。
「――シリアと同じ……。また、私が裏切ってしまった。傷付けた。……本当は、大切な人だったんだ。大切な人なのに、失ったんだ……。親友、だったのに……!」
「「「「「「「ええええっ!!??」」」」」」」
みんなが驚いて声を上げた。
「えっ!? なになに!? どうしたのっ!?」
「なんだ?」
アリスと魔王だけが不思議そうな顔をしてやって来た。――まだ続けてたのか。
そのアリスに、ヤンが告げる。
「あ、ヘイズル。キリオミなら消えたぞ」
アリスの反応はというと、
「えぇっ!? 本当!!??」
目を輝かせて聞き返した。……嬉しそうである。
「あぁ、でもよ……」
そう言ってヤンは、ふぅっと溜め息をついた。
「え? なに?」
不思議そうなアリスに、ヤンは少し悲しそうな表情で、
「いや、それがよー……。そいつが、リーダーの親友――」
「ちゃうわ――――っっ!!!!」
すかさずマニュアがツッコんだ。
「な、なんだ!?」
目を丸くして驚くヤン。
「親友だったのはミンミン!! 考えりゃわかるだろー!?」
「そ、そうだったのか……」
またマニュアとヤンの漫才か!? しかし、ヤンがボケとはちょっと珍しいな!
「……ムカ。……って、はっ!? な、なんで私がムカついて……!?」
嫉妬の炎がメラメラなアリス。
「ちょ、ちょっと!?」
「え、なに? アリちゃんも漫才やりたいって? ……って、あぁっ! もしや……!!」
マニュアは今頃気付いたようだ。
「え、えぇっ!? ま、まさかぁ……。ウソ……」
「アリちゃん!?」
ティルやアルトも、今頃になって……。
「ち、ちょっと待ってよ――!! 何に気付いたの!! 何にっ!?」
アリスが慌てて否定(??)する。
「照れちゃってー」
マニュアが冷やかす。
「え……? ヘ、ヘイズル……?」
ヤンがどぎまぎしながらアリスを見る。
「え、な、なにっ!? 何の話よぉ~っ!!?? え、サンドッ!?」
……壊れてきたアリス。
「……オイ」
ストームも嫉妬してか、横から口を挟もうとする。しかし、それよりもストームは、アルトとティルどっちが――、
「あほかぁっ!! な、何の話だぁ!!」
ストームも否定!?
「ハァ……。最終決戦だよな……?」
ニールは誰に問うでもなく、呆れたように呟いた。自分は関係ないとでも思っているのだろうか!
「そうだよね、ニールは別に……。うん……」
「なんだ?」
「え、あ、別になんでもないよっ!!」
謎なマニュア。ニールは当然不思議そうな顔をしている。
「――って! また話がズレてきてるよぉ!?」
ティルがツッコむ。ちなみに、ティルの腕の傷は、さっきみんなの気がいろんな方向に逸れているうちに、ヒナがしっかりと治していた。
「……本当にないんだな、緊張感…………」
魔王が大きく溜め息をついた。