グローリ・ワーカ   第4章:人間と魔族

「え? なに? なにをするの?」
 少しだけ嫌な予感がして、ティルは訊いた。
 マニュアはにーっと笑って、
「お礼!! この人達と町の人達を仲良くさせるんだよ!」
「えぇぇ!? どうやって?」
 アリスも訊く。
 マニュアは自信満々に、
「私達が魔物の格好をして町を襲う。で、この人達がそこを救えば、『あなたはこの町の救世主です! 今まですいませんでした!! どうか、これからは仲良くしてください!』ってなるでしょ!?」
 …………。
 みんな、無言になった……。
「え? なに?」
「あのさ……言いにくいんだけど、魔物の格好をしてって、まず難しいんじゃないの……?」
「そんなにうまく騙される人いないよぉ……」
 アリスとティルが口々に言う。
 マニュアはだんだんと泣きそうな顔になり、
「な、なんだよー! じゃあどうすればいいんだよー!」
「そんな、お気持ちだけで嬉しいですよ。ありがとう」
 男性が苦笑いを浮かべて言った。
 それは、もう諦めているということか。
「うー……」
 納得いかない顔のマニュア。
 直後、表情を変え、
「っていうか、名前聞いてないし、自己紹介してないや!! 私、『マニュア・ホワイト』です!」
「おぉ。そういやそうだったな。俺は『ニール・クラベット』」
「『ティル・オレンジ』でーす」
「『ストーム・カーキー』だ。よろしく!」
「『アリス・ヘイズル』です。お茶とお菓子、ごちそうさまです」
 男性も自己紹介を始めた。
「私は『メテオ・トープ』。彼女は妻の『ヘリオドール』。そしてこれが息子の『ノア』だ。ようこそ、トープ家へ」