グローリ・ワーカ   第9章:彼女の思惑

「||Φ|(|゚|д|゚|)|Φ||」
「セリフが絵文字ってどんなだ――――!!!!」
 魔王城にある牢の中、四天王の1人であるキリオミに誘拐されたアルトは、助けに来たらしいマニュアにツッコまれた。
「ホホホ。しかし、ティルちゃんも誘拐されそうになってたんだね……。でも、無事で良かったよ! てか、ラブコメじゃないのっ! で、それから?」
 アルトはマニュアにこれまでの状況を訊いていた。いない間に起きた面白い展開に、目が輝いている。
「楽しそうだね、アルトちゃん……」
 内心、今の状況分かってるのか? と思いつつ、マニュアは続きを話し出した。


 イグニスの町のある宿に泊まっていたマニュア達。
 アルトと入れ替わりでシリアも一緒に泊まり、ヤンは自宅へと戻っていた。
 その宿の部屋の扉を誰かが開けた。
「『マニュア・ホワイト』様と『その仲間たち5人』様ですね」
 部屋を開けて入ってきた娘は言った。宿で働いている娘だった。
「「「「『その仲間たち5人』……?」」」」
「ギクゥ!!」
 マニュアは娘の後ろを通って、こそこそと部屋を出て行こうとしている。
「「「「マーニューアー!!!!」」」」
「ひ、ひぇ〜!! す、すいませんっ!」
 みんなに怒られ、慌ててその場に土下座するマニュアだった。
「やっぱりおまえに任せなきゃよかったぜ!」
「まーったく!」
「宿帳にまさか、ね……」
「そんなふうに書くとは思わなかったぜ!」
 口々に怒鳴られ、どんどん小さくなっていくマニュア。
「あ、あの……。女将が呼んでますので、フロントへ来てください」
 娘はそう言うと、部屋から出て行った。
 マニュアも慌てて立ち上がり、
「と、とにかくっ、フロントへレッツゴーだ!」
 逃げるように部屋から出て行った!
「「「「待て――――!!」」」」
 ドタドタと音を立て、全員フロントへと向かった。