ひので町コント   1丁目:太一さんと陽二さん

 これは、どこかにある小さな町……ハニャラダンタラッタペッポコピー町を舞台にした物語――。

「そんな町ねーよッッ!!!!」

 気を取り直して。ひので町を舞台にした物語――。



 1丁目に住む太一(たいち)さん。
 彼は芸術家。今日もキャンバスに向かってひたすら筆を向ける。

 そこへ、友人の陽二(ようじ)さんが現れた。

「太一! 今日も陰気にこもって絵を描いてるかい!?」

「お前こそニートだろーがっ!」

「俺は引きこもってはないから違うぞ!」

「引きこもってなくてもニートだー!」

「ニートで何が悪い!?」

「開き直るな――――――!!」

 帰ってもらいたいと内心思いつつも、お茶を出す。

「いやー様子を見に来たんだよ。ただそれだけだけどな」

「帰れ」

「やだ」

 陽二は興味津々で、太一が今まで描いていたキャンバスを覗き込んだ。
 美しい女性が描かれている。

「これ、今描いてるやつか?」

「あぁ、そうだが……」

「違う! こうじゃない! やり直しだ!」

 ボグシャァ!!!!

 キャンバスのど真ん中――女性の顔の辺りに、陽二の拳がヒット!!

「……とかって、芸術家ってやるんでしょ?」

「やらね――――――――――――よっ!!!!!!!!!!(号泣)」

 太一の1週間が無駄になった瞬間だった。


「ごめんごめん。描き直すから」

「お前が描き直したところでどうする――――!!!!」

 太一から筆を奪い、ささっと何かを描く。

「こんなんでどう?」

「萌え系イラスト描いてどうする――――――――!! ていうか上手いし!!!!」

 そして、この後、太一はこのイラストを出品し、路線を変えて萌え系イラストに走った芸術家として知られることになる――。

「出品しねーよ! 俺の絵じゃねーし!!」

「まぁいくらなんでも、ギャグだからって穴まで開けちゃうのはひどいよなぁ」

「お前がやったんだろ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」

「もういいじゃん。この穴、顔ハメってことで」

 顔を出してみる。

「いいわけあるか――――――――――――!!!!」

「何だよーすぐ怒って。短気は損気だぞ」

「お前が怒らせてんだろーが!!」

「そんなに怒ってると、俺だって怒るぞ!!!!」

「お前が言える立場か――――――――――――――――――!!!!」

 ぜぇはぁ。

「そんなに怒鳴って、疲れない?」

「お前が怒鳴らせてるんだろうが……っ!」

「もう、ほら、さっき言ったとおり、これでいいじゃん」

 しなやかな女性の身体にぱっちりおめめの萌え系イラスト。
 穴を塞ぐようにイラストを描いた紙を貼った。

「だからよくねーっつーの!!!!」

「じゃ、後よろしくお願いしますー」

 どっかに電話している陽二。

 1分後、やってきた黒服の人が絵を持っていってしまった。

「誰だ――――!!!!」

「運び屋」

「どこに運んだ――――!?」

「絵を届けてもらいに」

「って、もしかして、そのまま出品したのか!?」

「うん」

「出品するな――――!!!!」

「あはははは」

「笑うなー! 取り返してこい!」

「じゃ、帰るわ☆」

「帰れ! いや、放置して帰るな――――――――――――!!」


 後日、2人の合作は世界的に評価されたという……。

「嘘――――――――――――――――――――――――――――!?」