死にたがりの夜

 まぁ、いつも外ではだいたい笑っている。嫌な顔1つせず。
「能天気だ」と「なにも考えていないんじゃないか」と「ストレスなんてなさそうでいいね」と。
 そう言われているけれど。そう言われていることを知っているけれど。でも。
 ほら、表はそんなもんなんだって。表は、ね……。
 そんなこと、ウソだって。よくわかる。自分がよく知っている。


「死にたい」

 聞き慣れた言葉。目はすでに死んでいる。
 自分にとってはこれが表で、その周囲の評価のほうがよくわからない。

「いいから。寝てなさい」

 そう言って、ベッドでぐったりしている彼女の手を握った。
 あいかわらずの死んだ目で自分を見てくる。

「私が死んだら泣いてくれる?」

「そりゃ泣くよ。だから、死なないで。とにかく、疲れてるなら寝なさい」

「一緒に寝てくれるなら」

 ――溜まってる仕事、したいんだけど……。
 などと言えるはずもなく。布団をめくり、彼女の隣に横になる。
 甘いなぁ、甘い。つい、甘やかしてしまう。
 しかし期待に副えないと、さらに面倒なことになるのは目に見えてわかっている。
 彼女がぎゅっとしがみついてくる。

「死にたい」

 まだ言っている。
 これが日ごろ溜まったストレスの発散方法なんだろうが、だんだんとこちらが疲れてくる。
 それでも彼女が好きだから、それもすべて受け入れる。

「もしも死ぬときは、一緒に」

 そっと額にキスをする。
 そうして、ようやく安心したように微笑んだ。

「おやすみなさい」




 なんかふっと書きたくなって。
 Short Storyのほうでもよかったかな? いや、やっぱりこっちだな。とか考えつつ。最近あんまり区別ないな……。
 とりあえず、けっこういそうな気もする、面倒くさいタイプの彼女かもしれない。まぁそれもひっくるめて愛してるのでしょう。2人がそれでいいなら、それでいいんです。
 そうだね。リア充爆発すればいいと思います。
 ――悩んだ挙句、けっきょくShort Storyに移動してみたり。 ――2015/05/29


――――2014/09/06 川柳えむ