グローリ・ワーカ   第11章:自分VS自分

「届いたゾ、届いたゾ」
 嬉しそうな悪魔の子供――小悪魔が、もう1人の小悪魔へ嬉しそうに言った。
「トーちゃん。なにが、なにが?」
「アッちゃん。ホラ、人間2人、届いたの」
 小悪魔2人――名前は、トーちゃんことトコと、アッちゃんことアモーレ。
 魔王城の一角。城の西側に、魔王城で働く魔族、悪魔の子供用のスペースがある。
 その部屋に、気を失った2人の人間が、悪魔によって送られてきた。
 2人はワクワクウキウキしながら、
「やったネ。これで遊べるネ。魂、取っちゃう?」
「ううん。まずぅ……。うーん……。なんにしようかー?」
「おままごと、はどお!? お料理するのー」
「それいい! 名案! やろっか!!」
 小悪魔の元に届いた2人の人間――。
 その人間を使って遊ぶ方法も思いつき、2人は早速準備に入る。
 楽しそうな2人。アモーレは棚をごそごそすると、
「ナイフ、ナイフ。トーちゃん! ナイフあったよー!」
「さんきゅー。では、いきます。まずは、片方の人間を……」
「お料理しましょー! 人間のお刺身と人間のスープ! 人間のステーキも美味しいかな!?」
「最後は逃げ出す魂を捕まえて食べちゃう! 苦しむ魂はどんなお味かな〜?」
「でも、ナイフの使い方には気をつけてね。ケガしたらお父ちゃんたちに怒られちゃう」
「そうだね。アッちゃんも気をつけて。では、始めましょう。切り刻みましょう!」
 子供らしく、楽しそうだが……言ってることはグロかった。
「あっ、こっちの女の子のほうはボクにやらせてー」
「うん。いいよー」
 そうして、横たわった2人の人間に立つ小悪魔。
 ……そう、この2人の人間こそ――お分かりであろうが――アリスとニール!
 魔王の厚意で送られてきた人間たちだ。
 さて、これは大ピンチである。
 2人の人間は、今、まさにその命を落とそうとしている!
「じゃあ、いっくよーん。たぁ――っ!」
 掛け声と共に、トコが勢い良くナイフを振り翳し、そのままニール目掛け一直線に振り落とされようとしていた――!