グローリ・ワーカ   第12章:タイムリミット24時間

 光が少しずつ収まっていく。
「ふぅ……」
 アルトとシリア、そしてティルやピュウ、魔王も、その様子をじっと見ていた。
 ミリア――いや、マニュアか?
 それは、口をゆっくりと開いた。
「――どうやら、元に戻れたよーだな。……やぁ、ティルちゃん、アルトさん! 心配かけたねっ!」
 いつもの調子で、そいつは、片手をひらひらと振った。
 ティルが声を上げる。
「マー……!! マニュアちゃん! マニュアちゃんだよね!?」
 マニュアは、笑顔で力強く答える。
「うん!」
「良かった! マニュちゃん、元に戻れて……! じゃあ――後は魔王を倒すだけ、だね……」
 そのアルトの言葉に、
「うん……!」
 そう頷くと、ゆっくりそいつの方を向いた。
 魔王が怒りの表情でこちらを見ていた。
 ――と、そのとき!!
 バァンッ!!!!
 広間の扉が勢い良く開いた。
 ちなみに、位置関係は、入り口付近に、アルト、シリア、マニュア。少し離れた中央付近に、ティル、ピュウ、その他倒れた人々。奥の玉座に魔王が鎮座。
 えーと、つまり、その扉の前に、マニュアたち3人がいたわけでして……。
「ぅひゃぁ!?」
「キャッ!」
「いったー!!」
 扉の攻撃!(違)
 アルト、シリア、マニュアの3人は10のダメージを受けた。
「魔王様、申し訳ありません! 駆けつけるのが遅くなりました!」
「……って、あれ? ミリアにシリア!? ……なに、倒れてんのヨ」
 トンヌラ、ミンミン、そして、トリヤスとキリオミも現れた。
 トリヤス、無事に戻ってこれたんだね。良かった良かった。
「ひ、ひどいですー! ……しかし、キリオミに置いていかれ――」
「すっかり忘れてたっス。悪気はなかったっス」
「――ひどいです。そして、さらに、作者に存在を忘れ去られたりもしましたが、私はこうして無事に――!」
「トリヤス、邪魔よ」
 げしっ!
 トリヤスはミンミンに足蹴にされた。
「ひ、ひ、ひどいです……」
「「ていうか、あんたら誰?」」
 ティルとアルトがはもった。
 そういえば、トンヌラとミンミンとは初対面である。いや、アルトは会ったことはあるが、そのときは気を失っていた。
 トンヌラが笑顔でそれに答える。
「私はトンヌラ。はじめまして、お嬢さん方。以後、お見知りおきを。……そして、お久しぶりですね、ミリア姫」
「「ひ、姫ぇ――――――――っ!?」」
 予想外のトンヌラのセリフに、驚きの声を上げる仲間たち。
 そういえば、姫って出てきたの初めてだっけ、そうだっけ?
「おい! おまえが忘れんなよ!」
「マニュちゃん、あれですか!? 実は魔王の娘とか、そんな――」
 アルトが驚いて尋ねる。
 マニュアもあたふたしながら、
「いや、それは、そうじゃな――」
「ミリアッ!!」
「は、はいぃ!?」
 とつぜん怒鳴られ、硬直するマニュア。
 声の方を見ると、そこには、怒りの表情を浮かべたミンミンがいた。
「み、ミンミン……! お、お久しぶりで……」
 マニュア、にっこりと笑ってみる。
 ミンミンは――、
「ミリア……。――こんの、裏切り者オォォォォ――――――っっ!!!!」
 その勢いに、マニュア、アルト、シリアが転がる。
「あ、あはは……。や、やっぱ、怒ってるんだ……」
「あったり前でしょ!!」
 何の話かは分からないが、どうやら、マニュアはミンミンに恨まれているようだ。
「おい! ホワイト! なんなんだよ、こいつら?」
「あぁ、あのね、こいつら――トリヤスとキリオミは知ってるでしょ。初めて会ったとき、ストームも一緒にいたんだから――って、ス、ストームウウゥゥゥゥ――――ッ!!??」
 気付けば真横に来ているストームに、飛び跳ねて驚くマニュアだった。
「な、なんだよ」
「ちょ……! ストーム、生きてたの!?」
「あぁ。俺らがそう簡単にやられるわけねーだろ! あいつらもいるぜ」
「おう!」
「無事だぞ!」
「良かったぁ。みんなー!」
「ティーちゃん!」
 気付けば、ティルの周りで感動の再会が行われていた。
「よ、良かったぁ」
 みんなの無事な姿を確認できて、ほっと胸を撫で下ろす。
 アルトもみんなの方に駆け寄って、一緒に無事を祝っていた。
 魔王は玉座に座ったまま、ただ、その様子を恐ろしい形相で見つめていた。
「んで、結局、こいつらはなんなんだー?」
 ニールがマニュアに尋ねた。
 マニュアが答える。
「だから、トリヤスとキリオミは知ってるでしょ。で、この2人、トンヌラとミンミンも合わせて、これが四天王なの!」
 その声に、誰もが驚きの表情を、そして、アリスが驚きの声を上げた。
「え、えぇー!? ど、どうなるのっ!?」

 マニュアは元に戻れたものの、魔王に四天王まで現れて、いったいどうなる!?
 はたして、無事に世界を救えるのか――!?