グローリ・ワーカ   第15章:再び魔王城へ

 そうこうして、しばらく道なりに進むと、ホールのような、少し開けた場所へと出た。
 1番先頭を歩いていたマニュアがとつぜん立ち止まる。
 すぐ後ろを歩いていたティルが、マニュアの背中に思いっきりぶつかった。
「いったたー……。マー、どぉした……って、あ――っ!?」
「なんだこりゃぁー!?」
「どーすりゃいいんだっ!!」
 驚いて立ち止まるみんな。
 そのホールのような場所から先に続いていく道が、なんと、5つに分かれていたのだ。しかも、真ん中にある通路の横のところにご丁寧にも張り紙がされていた。
『2人ずつに分かれて、5つの道へと同時に踏み出すこと。
 警告を破りし者には死が待つ。』
「? なんだこれ?」
 ストームが張り紙に目を通して、首を傾げた。
「つまり、この道を分かれて進めってことだろ?」
「え? どぉーするのォ?」
 ヤンの言葉に、ティルが不安そうに尋ねる。他のみんなも不安そうだ。
「マジで死ぬんかな……」
 し――――ん……。
「どーしよぅ……」
 困り果て、静まり返ってしまった。
 しばらくそうしていると、マニュアが真ん中の通路の前に立った。
「マー? どうするの?」
 まだ不安そうなティル。
 マニュアはその空気を破るように切り出した。
「ま、とりあえず……」
 親指を突き立てると、
「考えててもきりがない。張り紙のとおり行動するか。それとも――。ものは試しだぁ――――っ!!」
「あっ! バカ……ッ!」
 誰が止める間もなく。マニュアが真ん中の道に1歩踏み出した途端!
 ド、ガ、ガ、ガ、ガ、ガッ!!
「うぎゃあああっっ!!!!」
 な、なんと! 天井から槍や矢、その他いろいろな凶器が降ってきたのだ!!
 ――ここから先は恐ろしくて書けない私を、皆さん、お許しくださひ……。
「無茶、しやがって……」
「マニュちゃん、死んぢゃったのね……」
「迷わず成仏しろヨ」
「って、アホか――――――――っ!!!! 助けろ〜〜〜〜〜〜っ!! ぐ、ぐふぅ……。お、お花畑が……」
 マニュアは出血多量で死亡寸前だ。
「キャーッ!! ゾンビだ、ゾンビィ!!」
「ええっ!? 魔物っ!?」
「おおっ!! 血まみれなのにまだ動いてるゾッ!!」
「本物のゾンビか」
「バイ○ハザードだな!」
「ってめぇらあぁ〜〜〜〜っ!! ふざけてないで助けてよ……。し、死ぬ……。マジで……」
 マニュアが必死に言う。血、ダラダラで……。
((((((自分でやったくせに……))))))
 誰もがそう思ったという……。
 そこへ、
「フゥ……。仕方ないなぁ……」
 ため息を吐いて、ヒナがマニュアの前に歩み寄った。
「ああっ!! ヒナさん! 近付いちゃダメェッ!! ゾンビに殺されちゃうっ!!」
「スーちゃん……。ここまできてもギャグを……。ワシを殺す気かい……」
 マニュアはもう1歩で死ねる。
 ヒナはマニュアの前に静かに座ると、マニュアに向かって手をかざし、なにかを唱え始めた。
「――ワン・ウェル!!!!」
 パアアァァァァ……。
 暖かな光がヒナの手に集まると、それはマニュアを包み込むようにして傷を癒していった。
「「う……わぁ…………」」
「あ……。な、治った……」
「すっごーい!! ヒーちゃんの魔法見るの、久しぶりぃーっ!!」
 ティルは嬉しそうに興奮して言った。他のみんなはなんだか感動してしまっていた。みんな、ヒナとその魔法の後を今もじっと見ていた。
「あぁ〜〜っ!! 疲れたぁっ! ここで最上級の使うなんて!!」
 ヒナがその場にへたり込んで言った。
「ヒ、ヒーちゃんっ! ごめんね、ごめんね!! あと、ありがとーっ!! 大丈夫!?」
 マニュアが焦りながら謝る。
 そんな様子を見て、ヒナはニコッと笑い、
「大丈夫だよ。でもねぇ、次はもーちょっと考えてから行動してね」
 と言った。まるで子供を諭すようだ。
 マニュアは、
「うにゅ〜ぅ。わかりましたぁ。本当にごめんね!」