グローリ・ワーカ   第19章:ずっと傍にいる

 シリアが狂ったように叫ぶ。
「どうして……!? なんでお姉ちゃん、生き返らないの!? 私、間違ってない! ……ちゃんと、ちゃんと調べて……! お姉ちゃん、起きてないの!? どうして死んでるの!? なんで生き返らないの!!?? 私の想いが足りないっていうの!?」
「シリア様……。やはり、復活の呪法を見つけてきたのですね」
 溜息を吐きながら、トンヌラが言う。
「あの呪法は、相手への大きな気持ちと……それと、唱える者・唱えられる者の運が必要だという話です」
「じゃあ……」
「こいつら、運が足りないのか。気持ちかもしれんが」
 トンヌラやヤンの言葉に、呆然とするシリア。
「……う、運……??」
 その時だった。
 パアアァァァァ……!
 少し高い位置にあったいくつかの窓から、急に光が差し込んだ。まるで突然昼が訪れたようだ。
「な、なんですか!?」
「え? あれは……月!? 月って魔界からでも見えるんだー……」
「ちょっと待てよ! それにしても、明るすぎねーか!?」
 突然の光に驚く面々。そして、さらに驚くべきことが――!
「オイ! ちょっと見ろよ! アレ!!」
「な、なに……!? どうしたの!?」
「……マジかよ」
「すごい!」
 みんながざわめく。
 月にいったい何が起こったのか。
「……地守月……!?」
 そう、月が2つに見えるというあの地守月が起きていた。しかも、ただの地守月ではなかった。
「ちょっとぉ!! 2つどころじゃないわ! 3つ……!? いえ、4つ……!?」
 驚きの声が上がる。いくつもの月が空に見えていた。
 ブォン、ブォン、ブォン……。
 光に照らされ、明滅をしているなにかがあった。
「今度はなにぃ!?」
「なにか、光ってる……?」
「お、俺の月水晶!」
 いつの間に返してもらったのか、ヤンの月水晶が光っていた。
 月水晶だけではない。マニュアのシザーバッグの中で、全ての空水晶が光り輝いていた。
「これは……?」
 アルトがシザーバッグから残りの水晶を取り出した。
 すると――、
 ヴォン!!
 4つの空水晶は吼えるように大きく光り、音を立てた。そして……。
 カアアァァァァ……!