グローリ・ワーカ   第20章:最終決戦

 うわああああぁぁっ!?
「「「「「「「「「「「「「「「うわああああぁぁっ!?」」」」」」」」」」」」」」」
 もう20章だと……!? 信じられない!!
「「「「「「「「「「「「「「「だあぁぁっ!!」」」」」」」」」」」」」」」
 ガタ、ガタ、ガタ……。
 全員コケる。まるでコントだ。
「最終決戦が始まるってのに、それかいっっ!!」
 はっはっは。
「……うぉっほん」
 どことなく偉そうな咳払いが聞こえた。
 みんなが振り向く。マニュアの義父が難しい顔をしてそこに立っていた。
「あぁ、そうでした……。バトル……」
 まるで忘れていたかのように。――というよりも、本当に忘れていたのかもしれないアルトが呟いた。
「それ、作者の叫び声のせいで頭からすっぽ抜けたんだと思う」
 マニュアの言葉はアーアーキコエナイ。
「よ、よぉーし!! おまえらなんか倒してやるー!!」
 ストームが慌てた様子で声を張り上げる。それは、バトルのことを忘れていたのをごまかし――、
「よーし! 俺の力でぶっ飛ばしてやる!」
 ニ、ニールくん……! ちょっと、まだナレーションの途中……、
「いーや!! 俺の魔法じゃないと無理だな!」
 ヤンまで……! と、とにかく! 最終決戦開始だ!
「おまえら如きが私を倒すだと……? ハッハッハ。冗談にも程がある。笑止千万!」
 魔王がさもおかしそうに身をよじって笑った。
「誰が冗談なんか言ってる!?」
 スリムが反発する。強気の行動だ。
「……フ。まぁ、いい……。この魔王に勝てるかな?」
「わ、私は、僧侶なんで、攻撃はちょっと……」
 スリムとは対照的に、ヒナはちょっと弱気である。職業が職業なだけに、仕方のないことかもしれないが。
「大丈夫だ! イケル! とにかくGO!!」
「どこに!?」
 ストームとアルトの漫才……!?
「……そんなので笑わんぞ……」
「あぁ……。漫才にしてはつまらなすぎる」
 義父と魔王が頷きあう。
 漫才コンビ、ストーム&アルトの反応は……!?
「よーし! それなら……隣の空き地に囲いができたんだって」
「へー。…………って、ちっがーう!! 本当に漫才やってどーすんのおぉっ!?」
 バシイィッ!!
 アルトが一体どこにあったのか!? ハリセンでストームを思いっきりどついた! そして、
「「どーも、失礼しましたー!!」」
 と、条件反射(なんの!?)で、2人は頭を下げた。
 パチパチパチ……!
 周りから拍手が沸き起こる。
「今のはナイスどつきだ!」
「Good!」と言わんばかりに、義父が力強く親指を立てた。
 それに、2人の顔も明るくなる。
「あ、ありがとうございます」
「LED電球!」
 明るく笑っているストームのそれは、どんなギャグだ!?
 マニュアも2人に、
「うんうん。よかったよ、2人とも! 1つ言うならば、アルトさんがツッコミだったってとこだけが気になったな。まぁボケコンビじゃ成り立たないからしょうがないね」
「ちょっとマニュちゃん!?」
 そして、ヤンも頷きながら2人を褒める。
「いや、でも、どつきっぷりはなかなかだったぞ。――……って! 違うだろ! 喜んでどうする!? なんでマジで漫才始まってんだよ! ここは漫才教室なのかー!?」
 バシイィッ!!
 さっきのハリセンを使って、なぜかマニュアをどつく。マニュアは10のダメージを受けた!
「いてぇっ!!」
 いや、さすが。ヤンは基本ツッコミである。今回もよいノリツッコミだった。
 しかし、気付くのが遅過ぎる。
 そして、魔王たちも――、
「はっ!! しまったー! のせられてしまったぁぁーっ!!」
「くそぅ! こんな単純なテに引っかかるなんて……」
 頭を抱える。
「――これが、最終バトルなんて……」
 後ろの方で、すっかり存在など忘れられていたピュウが汗だくになって見ていた。
 まったくもって、情けない最終決戦である。しかし、元々みんなギャグキャラなのだから仕方ないことだったとさ。