グローリ・ワーカ   第3章:災難・その後

 3人と1匹は、男達を縛りあげたまま置き去りにして、夜の街へと繰り出した。
 こんな森の中の町だ。たいした遊び場などない。
 ただ1箇所を除いて――

「お〜ぢ〜さ〜ん〜??」
 ここはこの町に1軒だけの酒場。舞台では踊り子達が踊っている。ここがリナの言っていた人気の酒場だろう。それは、もしかしたら、たんに娯楽がないだけなのかもしれないが。
 酒場の明るい雰囲気の中、一部だけ、どす黒い気が渦巻いていた。
「どーゆーことですか?」
 その一部分。どす黒い気の発信源は、マニュア、ティル、ストームの3人であった。
 マニュア達は男に詰め寄っている。
「宿をほっぽって、なにしてるんだよ!?」
「いや、ねぇ。だから、早くから待ってないと、満席になっちゃうんで――ねぇ? ここの踊り子、人気あるんですよ……!」
 その男――つまりは、宿の主人だったりするわけだが、なんともふざけた言い訳をしていた。
「そんなことで仕事さぼって、い・い・の・か・い!?」
「あ、ほらほら! あっ、あの右端の踊り子! いーですよねー! まだ若いらしいんですよ!」
「ごまかすなぁ!」
 そう言いつつ、マニュアもそちらのほうに目をやった。
 ほかの踊り子に比べたらまだ幼い顔つきであるが、整った顔をしている。踊りもとても上手だ。
「たしかに綺麗だけどさぁ。踊り見てても……私にはつまらんし」
「でもすごいねー。上手」
 ティルも感心した様子で見ている。
 ストームはでれでれしている。
 その様子に気付いたティルが、ストームの頬をつねった。
「いでででででで! なにすんだっ!」
「べつに」
 マニュアは舞台をぼーっと眺めていた。
 次の瞬間、なにを思いついたか、マニュアが口走ったのは――
「私も踊る!」
「ええええええっ!?」
 舞台に乱入しようとするマニュア。
「ヤメロ。待て。早まるな!」
「ちょっと――迷惑掛かるよ!」
 必死に止めに入るストームとティルであった。
「ピュウピュウ」
 その様子を見ていたピュウは「やれやれ」といった感じで首(?)を振った。