グローリ・ワーカ 第11章:自分VS自分
「ちょおぉーっと待ったアアァァァァ―――ーッ!!!!」
トコの握ったナイフは、ニールの胸まであと1歩! というところで止められた。
どこからか聞こえた某魔法の円を描くマンガのアニメキャラ風なセリフに、慌ててキョロキョロと辺りを見回す。
「「だっ、誰なのーっ!?」」
「そこに1つの悪があり――」
その声の主は――窓の外だあぁーっっ!!
「「えっっ!?」」
トコとアモーレは窓を振り返った。
そこには、鳥形をした3羽の魔物の上に乗った3人の姿が――。
「ここに1つの正義がある――」
その真ん中にいる魔物の上に立つ誰かが続ける。
「なんにもしていない人を殺そうとするなんて、私は許さない!」
「「はぁ?」」
その誰かは、キッと顔を上げると、
「天才美少女吟遊詩人☆ マニュア様、参・上ォォ――――っっ!!!! てやぁーっ!!」
ツルッ、ゴキッ、ドカッ!
……今のは、マニュアがラウムから飛び降り、着地のときに足を滑らせ、骨を変な方向に曲げて、頭を打った音です……ハイ……。
「う゛っっっ……っ!!」
し~~~~~~~~ん……。
「あ……」
マニュアは動かなくなった……。
窓の外では、ティルとアルトが顔を真っ赤にして俯いている。
「あの……。あなたたち、な、何者ですか……?」
アモーレが遠慮がちに尋ねる。
「フフフ……!! よくぞ訊いてくれた!」
ガバッ!!!!
マニュアは蘇った!
「だぁーかぁーらぁー。わったっしっはっ! 天才勇者美少女吟遊詩人マニュア様だってっっ!!」
「さっきとセリフ、変わってマスよ……?」
アルトが後ろからツッコむ。
「「は?? なんだって?」」
トコとアモーレが聞こえないフリをして再度尋ねる。
「だ・か・らっっ!! 天才勇者美少女ハイパーミラクルスペシャル吟遊詩人マニュア様っ!!」
「「はぁ????」」
「あ――――っっ!!!! もういい!! ティルちゃん、アルトちゃん! さっさとその鳥から降りてきて! 戦闘の準備だ!」
マニュアはそう言ったかと思うと、今度はアリスとニールに向けて、
「さぁさぁさぁっっ!! ニールとアリちゃんもっ! 起きてっ! 起きてくんないと歌をっっ――!」
バチッ!!
気を失っていた2人の目が開いた……。
「なんだなんだっ!?」
「い、今、なにやらおぞましい言葉が聴こえたようなぁ!?」
「おまえら本当ひどいな!」
マニュアの歌は気を失っている子をも起こすようだ……。
「あーもーバカなこと言ってないで! ニール、アリちゃん! あんたら殺されそうになったんだよっ!」
「なっ……!?」
「俺らがっっ!?」
マニュアの言葉に驚きを隠せない2人。
「そう!! 魔王城に入ってバラバラに捕まって、危なかったんだから!」
「えぇ!?」
「マジかよ!」
「マジだよ!」
ティルとアルトもやって来て、
「ストームとサンドも捕まっちゃったのー!」
「シリアちゃんとピュウもいないって!」
わーわーぎゃーぎゃー。
「「……って、こっちを無視するなぁぁ~~~~っ!!」」
トコとアモーレが怒鳴る。
その声に、マニュアたちは、
「「「「「あ……。すっかり忘れてた」」」」」
最後の一言は小声で言いましたとさ。
「なんだよ、あんたら! こっちはただ、おままごとで遊んでただけなのに!」
「そーだよ。ネェ、トーちゃん」
「まったくだ」
トコとアモーレが言う。
「あ~の~ねぇ~……」
マニュアが溜め息を吐く。
「こーゆーガキにはお仕置きが必要なんじゃねーか?」
ニールが拳を作る。
「でも、子供だしー……」
そうティルが止めると、
「おばさんたちはどっか行けよ!」
「殴っていいよ」
ティルはすぐさま意見を変えた。
「ままごとだからって、人を殺しちゃだめでしょうよ!」
「そうだよ。今回は許してあげるけど、本当にしちゃダメ」
アルトとアリスが小悪魔たちに言うと、2人はあからさまに嫌そうな顔をして、
「えー……。人間なんていらないし」
「ていうか、許してもらう必要もないよー」
ぷちん。
アルトは弓矢を、アリスは扇子を構えた。
周りがキレたもんだから、マニュアは逆にキレるタイミングを失い、
「え、えっと……。ケンカはよくないですよ……?」
なんだか中立の立場になっているのだった。
「なんだよー。邪魔すんなよ!」
「ケンカするつもりないもん。お料理しようとしてただけで」
「だから消えろよ、おばさん!」
トコとアモーレ(特にトコ)は、やはり口が悪かった。
「…………くぅ~~~~~~~~っ……。生意気――――――っっ!!!!」
マニュアは額に大きな青筋を作ると、さっとマイクを取り出し――、
「マーっ!!」
「マニュちゃん!!」
「ホワさんっ!」
「やめろぉっっ!!!!」
みんながみんな――しかも、仲間である側が、叫ぶ。
ガタガタガタッ!
勢いを削がれたマニュアがおもいきりこける。
「な、何ぃ、いきなり? い、勢いが……」
「だって、今……っ!」
「歌、歌おうとしましたねぇ!?」
「そうだけど?」
ティルとアルト、そしてアリスやニールの制止に、さらりと答えるマニュア。
「大丈夫! もう上手だから!」
「「「「へ?」」」」
「じゃ、いっきまーす!!!!」
「あわわ……」
「「わ――――っ!!」」
周囲の反応など物ともせず、マニュアは歌う体勢に入り――、
すぅ……。
「♪~♪~♪~♪~……」
「え……?」
「マニュちゃんの歌が……」
「上手くなってるぞ、おい!?」
「なんで……?」
吟遊詩人のはずなのに、感想がおかしい。
しかし、今まで音痴だったはずのマニュアが、なぜ?
それは――やはり、時間の経過や慣れというものであろうか。
「ぽわ~~~~っ……」
「ほけ~~~~っ……」
トコもアモーレもぽけーっとしている。
しかし、仲間もぽけーっとしてしまっている。そんな場合ではない。
「あ……っ!」
「そうだった……」
「じゃ、じゃあ、今のうちに魔物を呼び出して。とか……!」
しかし、そうこうしているうちに歌が終わってしまった。
「よ、よくもぉ~……っ!」
「ユーワクしてくれたな~~~~っ!!」
トコとアモーレが正気に戻った!
マニュアは慌てて、再度歌を歌い始めた。
「ほへ~~~~っ……」
「ほえ~~~~っ……」
と、突然、マニュアが!
「『ほえ』は私のセリフだ~~~~っ!! 某カードを使う萌えっこマンガキャラも使ってたが、元祖は私なんだ~~~~っ!!」
わけの分からないことを言い始めた!
「って、あ、ヤベ」
歌が止まった!
「よ、よ、よくもーっ!」
「〓〓〓〓〓!!!! (←表すことのできない歌声)」
「「「「ぎゃ――ッ!!!!」」」」
慌てたマニュア、思わず歌声が戻ってしまっていた。
「へっ? あっ、急いでたからっ! 〓〓〓!」
「「「「「「ぐあ――――――――――――――――っっ!!??」」」」」」
全員ぶっ倒れた!
「ふはは……。今のうちに……。ラウム――だっけ。頼むよ……」
ラウムはひょっこり窓から顔を覗かせた。さすが魔物、(マニュアの歌に)危険を感じ取って逃げていたらしい。
マニュアの言葉に、ラウムは彼女を背に乗せた。
他の仲間たちも気を失ったまま、それぞれ、マニュアの手によって、他のラウムの背に乗せられた。
「多分、もしかしたら……あそこに、人間ではないストームやヤンはいるかもしれない……」
(ていうか、ストーム、本当に人間じゃなかったのか……)
そんなことを考えながら、マニュアはラウムにこう言った。
「――魔王のところに行って!」
「ちょおぉーっと待ったアアァァァァ―――ーッ!!!!」
トコの握ったナイフは、ニールの胸まであと1歩! というところで止められた。
どこからか聞こえた某魔法の円を描くマンガのアニメキャラ風なセリフに、慌ててキョロキョロと辺りを見回す。
「「だっ、誰なのーっ!?」」
「そこに1つの悪があり――」
その声の主は――窓の外だあぁーっっ!!
「「えっっ!?」」
トコとアモーレは窓を振り返った。
そこには、鳥形をした3羽の魔物の上に乗った3人の姿が――。
「ここに1つの正義がある――」
その真ん中にいる魔物の上に立つ誰かが続ける。
「なんにもしていない人を殺そうとするなんて、私は許さない!」
「「はぁ?」」
その誰かは、キッと顔を上げると、
「天才美少女吟遊詩人☆ マニュア様、参・上ォォ――――っっ!!!! てやぁーっ!!」
ツルッ、ゴキッ、ドカッ!
……今のは、マニュアがラウムから飛び降り、着地のときに足を滑らせ、骨を変な方向に曲げて、頭を打った音です……ハイ……。
「う゛っっっ……っ!!」
し~~~~~~~~ん……。
「あ……」
マニュアは動かなくなった……。
窓の外では、ティルとアルトが顔を真っ赤にして俯いている。
「あの……。あなたたち、な、何者ですか……?」
アモーレが遠慮がちに尋ねる。
「フフフ……!! よくぞ訊いてくれた!」
ガバッ!!!!
マニュアは蘇った!
「だぁーかぁーらぁー。わったっしっはっ! 天才勇者美少女吟遊詩人マニュア様だってっっ!!」
「さっきとセリフ、変わってマスよ……?」
アルトが後ろからツッコむ。
「「は?? なんだって?」」
トコとアモーレが聞こえないフリをして再度尋ねる。
「だ・か・らっっ!! 天才勇者美少女ハイパーミラクルスペシャル吟遊詩人マニュア様っ!!」
「「はぁ????」」
「あ――――っっ!!!! もういい!! ティルちゃん、アルトちゃん! さっさとその鳥から降りてきて! 戦闘の準備だ!」
マニュアはそう言ったかと思うと、今度はアリスとニールに向けて、
「さぁさぁさぁっっ!! ニールとアリちゃんもっ! 起きてっ! 起きてくんないと歌をっっ――!」
バチッ!!
気を失っていた2人の目が開いた……。
「なんだなんだっ!?」
「い、今、なにやらおぞましい言葉が聴こえたようなぁ!?」
「おまえら本当ひどいな!」
マニュアの歌は気を失っている子をも起こすようだ……。
「あーもーバカなこと言ってないで! ニール、アリちゃん! あんたら殺されそうになったんだよっ!」
「なっ……!?」
「俺らがっっ!?」
マニュアの言葉に驚きを隠せない2人。
「そう!! 魔王城に入ってバラバラに捕まって、危なかったんだから!」
「えぇ!?」
「マジかよ!」
「マジだよ!」
ティルとアルトもやって来て、
「ストームとサンドも捕まっちゃったのー!」
「シリアちゃんとピュウもいないって!」
わーわーぎゃーぎゃー。
「「……って、こっちを無視するなぁぁ~~~~っ!!」」
トコとアモーレが怒鳴る。
その声に、マニュアたちは、
「「「「「あ……。すっかり忘れてた」」」」」
最後の一言は小声で言いましたとさ。
「なんだよ、あんたら! こっちはただ、おままごとで遊んでただけなのに!」
「そーだよ。ネェ、トーちゃん」
「まったくだ」
トコとアモーレが言う。
「あ~の~ねぇ~……」
マニュアが溜め息を吐く。
「こーゆーガキにはお仕置きが必要なんじゃねーか?」
ニールが拳を作る。
「でも、子供だしー……」
そうティルが止めると、
「おばさんたちはどっか行けよ!」
「殴っていいよ」
ティルはすぐさま意見を変えた。
「ままごとだからって、人を殺しちゃだめでしょうよ!」
「そうだよ。今回は許してあげるけど、本当にしちゃダメ」
アルトとアリスが小悪魔たちに言うと、2人はあからさまに嫌そうな顔をして、
「えー……。人間なんていらないし」
「ていうか、許してもらう必要もないよー」
ぷちん。
アルトは弓矢を、アリスは扇子を構えた。
周りがキレたもんだから、マニュアは逆にキレるタイミングを失い、
「え、えっと……。ケンカはよくないですよ……?」
なんだか中立の立場になっているのだった。
「なんだよー。邪魔すんなよ!」
「ケンカするつもりないもん。お料理しようとしてただけで」
「だから消えろよ、おばさん!」
トコとアモーレ(特にトコ)は、やはり口が悪かった。
「…………くぅ~~~~~~~~っ……。生意気――――――っっ!!!!」
マニュアは額に大きな青筋を作ると、さっとマイクを取り出し――、
「マーっ!!」
「マニュちゃん!!」
「ホワさんっ!」
「やめろぉっっ!!!!」
みんながみんな――しかも、仲間である側が、叫ぶ。
ガタガタガタッ!
勢いを削がれたマニュアがおもいきりこける。
「な、何ぃ、いきなり? い、勢いが……」
「だって、今……っ!」
「歌、歌おうとしましたねぇ!?」
「そうだけど?」
ティルとアルト、そしてアリスやニールの制止に、さらりと答えるマニュア。
「大丈夫! もう上手だから!」
「「「「へ?」」」」
「じゃ、いっきまーす!!!!」
「あわわ……」
「「わ――――っ!!」」
周囲の反応など物ともせず、マニュアは歌う体勢に入り――、
すぅ……。
「♪~♪~♪~♪~……」
「え……?」
「マニュちゃんの歌が……」
「上手くなってるぞ、おい!?」
「なんで……?」
吟遊詩人のはずなのに、感想がおかしい。
しかし、今まで音痴だったはずのマニュアが、なぜ?
それは――やはり、時間の経過や慣れというものであろうか。
「ぽわ~~~~っ……」
「ほけ~~~~っ……」
トコもアモーレもぽけーっとしている。
しかし、仲間もぽけーっとしてしまっている。そんな場合ではない。
「あ……っ!」
「そうだった……」
「じゃ、じゃあ、今のうちに魔物を呼び出して。とか……!」
しかし、そうこうしているうちに歌が終わってしまった。
「よ、よくもぉ~……っ!」
「ユーワクしてくれたな~~~~っ!!」
トコとアモーレが正気に戻った!
マニュアは慌てて、再度歌を歌い始めた。
「ほへ~~~~っ……」
「ほえ~~~~っ……」
と、突然、マニュアが!
「『ほえ』は私のセリフだ~~~~っ!! 某カードを使う萌えっこマンガキャラも使ってたが、元祖は私なんだ~~~~っ!!」
わけの分からないことを言い始めた!
「って、あ、ヤベ」
歌が止まった!
「よ、よ、よくもーっ!」
「〓〓〓〓〓!!!! (←表すことのできない歌声)」
「「「「ぎゃ――ッ!!!!」」」」
慌てたマニュア、思わず歌声が戻ってしまっていた。
「へっ? あっ、急いでたからっ! 〓〓〓!」
「「「「「「ぐあ――――――――――――――――っっ!!??」」」」」」
全員ぶっ倒れた!
「ふはは……。今のうちに……。ラウム――だっけ。頼むよ……」
ラウムはひょっこり窓から顔を覗かせた。さすが魔物、(マニュアの歌に)危険を感じ取って逃げていたらしい。
マニュアの言葉に、ラウムは彼女を背に乗せた。
他の仲間たちも気を失ったまま、それぞれ、マニュアの手によって、他のラウムの背に乗せられた。
「多分、もしかしたら……あそこに、人間ではないストームやヤンはいるかもしれない……」
(ていうか、ストーム、本当に人間じゃなかったのか……)
そんなことを考えながら、マニュアはラウムにこう言った。
「――魔王のところに行って!」