グローリ・ワーカ 第12章:タイムリミット24時間
「ぃやぁっ!」
「ぅひゃぁっ!」
2人は重なり合うようにして、地面に激突した。
今の2人は魂だけの存在。――といえども、ここは霊界。やっぱり激突したのは痛かった。
「いったったー……」
腰をさすりながら立ち上がる。
辺りをきょろきょろと見回しながら呟いた。
「――ここが、霊界?」
当然、初めて見る光景だった。
「なにコレ……。気持ち悪い……」
思わず素直な感想が、口をついて出る。
その世界では、紫が暗闇に溶け込んだような空が、木々の間からうっすら見え隠れしていた。
その木々というのも、見たことのない色をした植物が蔦をうねうねと動かしていたり、妙な曲線を描いた葉が大きく茂っていたりするような、奇妙なものばかりだった。
そして、2人の足元には1本の道があった。前にも後ろにも、ずっとずっと先まで続いている。
「これは――どっちに行けばいいんでしょ?」
「え、えーっと……。どうしよー」
前か後ろか、どちらかに進むしかない。
「それでは。ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な♪」
「て・ん・の・か・み・さ・ま・の――……」
のん気に歌いながら決めていたそのとき。
「――てっぽううってー……。って、ティーちゃん! あれ!」
「え?」
道の先に人影が見えた。
2人は慌てて隠れてしまったが、もしかしたらマニュアという可能性も――?
まさしく草葉の陰から見守るといった感じ。2人は様子を伺った。
少しずつその影が近付いてくるにつれ、隠れて良かった。という気持ちと恐怖心が、一緒に渦を巻いてやってきた。
「あれ~……? この辺から、妙な気配を感じたんだがなぁ。まだ新鮮な魂の匂いが~」
異形の者――見たこともない醜い魔物のような生き物(?)が、目の前で立ち止まった。
「死に立てかなぁ? でも、またそれとも違う感じがするんだがなぁ。なんにせよ、美味そうだよなぁ~」
その者の言葉に、ますます息を潜める2人。
――ヤバイ。これはヤバイ。見つかったら……食べられる!!
異形の者はしばらくきょろきょろと辺りを伺っていたが、やがて深く溜め息を吐いて、
「ん~……。気のせいか。どうせこっから地獄行きの魂だったら苦味ありそうだもんな~。天国の道から来てすれ違ってないんだからなぁ。それよりも早く行かないとなぁ。拷問の人手が足りねぇーってさ、んなことせずに喰っちまえばいいのによぉ~」
ぶつぶつそんなことを言って、さっさと行ってしまった。
その後ろ姿が見えなくなったのを確認して、2人は這うように、そいつが行ったのと反対の方向に逃げ出した。
「ぃやぁっ!」
「ぅひゃぁっ!」
2人は重なり合うようにして、地面に激突した。
今の2人は魂だけの存在。――といえども、ここは霊界。やっぱり激突したのは痛かった。
「いったったー……」
腰をさすりながら立ち上がる。
辺りをきょろきょろと見回しながら呟いた。
「――ここが、霊界?」
当然、初めて見る光景だった。
「なにコレ……。気持ち悪い……」
思わず素直な感想が、口をついて出る。
その世界では、紫が暗闇に溶け込んだような空が、木々の間からうっすら見え隠れしていた。
その木々というのも、見たことのない色をした植物が蔦をうねうねと動かしていたり、妙な曲線を描いた葉が大きく茂っていたりするような、奇妙なものばかりだった。
そして、2人の足元には1本の道があった。前にも後ろにも、ずっとずっと先まで続いている。
「これは――どっちに行けばいいんでしょ?」
「え、えーっと……。どうしよー」
前か後ろか、どちらかに進むしかない。
「それでは。ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な♪」
「て・ん・の・か・み・さ・ま・の――……」
のん気に歌いながら決めていたそのとき。
「――てっぽううってー……。って、ティーちゃん! あれ!」
「え?」
道の先に人影が見えた。
2人は慌てて隠れてしまったが、もしかしたらマニュアという可能性も――?
まさしく草葉の陰から見守るといった感じ。2人は様子を伺った。
少しずつその影が近付いてくるにつれ、隠れて良かった。という気持ちと恐怖心が、一緒に渦を巻いてやってきた。
「あれ~……? この辺から、妙な気配を感じたんだがなぁ。まだ新鮮な魂の匂いが~」
異形の者――見たこともない醜い魔物のような生き物(?)が、目の前で立ち止まった。
「死に立てかなぁ? でも、またそれとも違う感じがするんだがなぁ。なんにせよ、美味そうだよなぁ~」
その者の言葉に、ますます息を潜める2人。
――ヤバイ。これはヤバイ。見つかったら……食べられる!!
異形の者はしばらくきょろきょろと辺りを伺っていたが、やがて深く溜め息を吐いて、
「ん~……。気のせいか。どうせこっから地獄行きの魂だったら苦味ありそうだもんな~。天国の道から来てすれ違ってないんだからなぁ。それよりも早く行かないとなぁ。拷問の人手が足りねぇーってさ、んなことせずに喰っちまえばいいのによぉ~」
ぶつぶつそんなことを言って、さっさと行ってしまった。
その後ろ姿が見えなくなったのを確認して、2人は這うように、そいつが行ったのと反対の方向に逃げ出した。