グローリ・ワーカ　　　第14章：ある占い師との約束

「たっだいまぁ!!」
「あっ！　マー！　帰ってきたんだねぇ」
　マニュアが宿に戻ると、ティルが出迎えてくれた。
「ずいぶん遅いからさぁ……」
　迷いに迷ったマニュア。時間は既に夕刻を迎えていた……。
「は、はは……」
「アリちゃんとサンドがさぁ――」

「も、もしかしたらホワさん帰ってこないかも！」
「とんずらこかれた！　俺の月水晶ー！」

「――なんて言ってるから……」
「と、とんずらって……」
　マ、マニュア……。あ、あまり気にするなっ!!
「どんまい！」
「ティルちゃん……。ありがとう」
　マニュアは半泣きだ。
「って、あー!!」
　宿の入り口に突っ立ってティルと話していたところを、ヤンやアリスに見つかった。その後ろから他の仲間もやって来る。
「俺の月水晶！　帰ってきたか!!」
「サンド！　良かったね！」
　ヤンとアリスが言う。
　マニュアは溜め息を吐くと、
「シツレーな……。……って、それより！　ティルちゃん。いや、みんなも――……。聞いてほしいことがあるんだ」
　いつになく真剣な表情をしてみんなを見回した。その瞳に、みんなもいささか緊張した表情に変わった。
　マニュアは目の前にいるティルの瞳をじっと見つめた。ティルは驚いてマニュアを見つめている。
　実は、マニュアはあることを決意していた。しかしそれを口にするまでは少しの時間を要した。心の準備がまだ整っていなかった。
　深呼吸をした後、とうとう決心したかのようにマニュアは口を開いた。
「――……ごめん……。……私、やっぱり１人で魔王を倒しに行く……！」