グローリ・ワーカ   第15章:再び魔王城へ

 装備を整えて、武器・防具屋を出る。
 みんな新品の装備品に包まれて、今までよりも幾分か立派に見えた。実際、この装備によって攻撃力が上がったり防御力が上がったり素早さが上がったりもしている。
 さらにみんなは残りわずかなお金を持って道具屋へ行き、薬草などを補充した。
 こうして、とうとう出発できる状態になった。もう旅立ちだ。
「実際、装備がどんな感じなのか紹介しないの?」
 ↑の上げたとおり、多少立派に見えます。以上。後は省略。
「そーですか」
「つーか、いい加減、イラストでも描きゃいーんだが」
 ツッコミ不可! 小説メインだからいいのだ!
「さて、それでは、しゅっぱーつ!」
 マニュアが空に腕を突き上げた。
 と、そのとき。
「あの……」
 後ろから声をかけた人物がいた。
「「「ん?」」」
 そこにはみんなと同じくらいの2人の女の子が立っていた。1人は鎧に身を包み剣を携えて、もう1人はローブを羽織り手には杖を握っていた。
 その2人の姿を見たとき、マニュアとティルの頭になにかがよぎった。そして、2人は同時に叫んだ。
「「あ――――っっ!!」」
「スリムちゃんっ!?」
「ヒナちゃーんっ!?」
 どうやら、その2人はマニュアとティルの知り合いらしい。
「どっ、どーしてココに!?」
 マニュアが驚いて尋ねると、鎧の少女が笑って言った。
「まぁ、まずは自己紹介しなきゃね。僕は『スリム・カント』。もうすぐ13歳! 職業は戦士で、一応ホワイトの友達です」
「い、一応ってなんですか……?」
 僕っ娘だった。
 さて、続いて、もう1人の少女も自己紹介を始めた。
「私は『ヒナ・マゼンタ』。職業は僧侶です。よろしくー。あ、ティーの友達だよ」
「そーなんです」
 自己紹介が終わると、マニュアがニールに言った。
「……にしても、ホラ、ニールは覚えてない? ドラコの町にいたでしょ」
「あ? ああ! カントか。そーいえばいたよーな……」
「まったく。ニールは私のときも存在忘れてたしね」
 マニュアが憤慨して言うと、ニールは、
「いや、まだカントのほうが覚えてる」
「ガーン!!!!」
 マニュアの心に1万のダメージ。瀕死だ。
「えーっと……、僕はねぇ、ホワイトが町から旅立った後、ちょっといろいろあって……で、旅立ったのね。それで、途中、ヒナさんと出会って、一緒に旅してたんだけど、今、ホワイトに追いついた。と」
「うん」
「ヒーちゃんたちも一緒に行こーよ! 魔王退治!」
 ティルがヒナとスリムに言う。みんなが驚いて彼女を見た。
「ティ、ティルちゃん……! そんな、遠足じゃないんだから……」
 マニュアが言うと、スリムがなんでもないように言った。
「別にいいけど。ホワイトが魔王を倒しに旅に出たってのを噂で聞いて、自分も旅に出ようかと思ったんだし」
「ス、スーちゃん……! そういえば、いろいろあったって言ってたけど……」
「まぁ、それはちょっと――いろいろさ。とにかく、別に行ってもいーよ」
 スリムの言葉に迷うマニュア。ヒナもそれに続けるように言った。
「うん。ティーも行くんでしょ? 私も行くよー!」
 2人の乗り気な言葉に、みんなはそれを受け入れる雰囲気になっていた。先ほど巻き込みたくないと言ったばかりのマニュアとしては複雑だった。
 しかし――、
「あぁっ、もう! どーなっても知らないよ!?」
「りょーかい!」
「はーい♪」
 マニュアにはこの先どうなるのかが全く見えなかった。魔王城から逃げ出さなかった過去にはいなかった仲間だ。
 これが吉と出るのか凶と出るのか――。
 もしかしたらこれでなんとかなるかもしれないし、逆にみんなを大変な目に遭わせてしまうかもしれない。
 けれど、みんなを連れて行くのなら――、
(私は、絶対にみんなを守る。たとえどんな目に遭ったって、魔王を倒すことができなかったとしても、それだけは――!)
 心で誓って、マニュアは気合を入れるように拳を突き上げた。
「――よし! じゃあ、魔王城への扉を開くよ!」
「「「「「「おう!!」」」」」」