グローリ・ワーカ   第20章:最終決戦

「はっ! 最終決戦ってサブタイトルなのに、ほとんどまともな戦いしてないっ!!」
 と、突然思いついたように、マニュアは体をガバッと起こして声を上げた。
「まぁ、今さらだけどな」
 横でニールが倒れたままツッコミを入れた。
「よし! 20章最後の1ページ、せめてまともに戦おう!」
 そうマニュアが提案するが、
「もうこの時点でまともってのは無理じゃないか?」
 とヤンがツッコんでくる。
「うぐ……。そ、そんな言うなら、もうまともに戦ってやらない! じゃんけん大会でもすればいい!」
 拗ねるマニュア。
 こんな最終決戦、聞いたことない。
「――倒すとかあれだけ大見得を切っておいて……じゃんけん大会とか……。おまえら、本当に私たちを倒しに来たのか? 倒す気あるのか?」
 もうずっと魔王がツッコミになってしまっている。
 これまで、割とシリアスが続いてきていたような気がしたのだが、どうやら気のせいだったようだ。きっと幻を見ていたに違いない。やはりこれはギャグファンタジーだった。
「もうあれですよ、きっとシリアスじゃなくてシリアルだったんですよ」
 アルトが言う。
 シリアルならしょうがない。
「なんだ、それは……」
 基本はシリアスサイドなのだろう義父がマンガのような汗を掻いた。
「シリアスサイド!?」
「こりゃいかん。よし。シリアスに戻そう」
 突然まともになるマニュアだった。
 マニュアは目を閉じて立ち上がった。
 命を賭してマニュアを救ってくれたシリアの為にも、消されてしまったミンミンの為にも、そして、母との約束を守る為にも――何より人間界の為にも――、勝たなきゃいけない。グローリ・ワーカは、勝たなきゃいけないのだ。
 その思いを胸に、必ず勝つと自分自身に誓い、彼女は目を開いた。
「無理やりシリアスにしたなー」
 ニールがまだ横になったままマニュアにツッコんだ。が、マニュアはめげない。
「グローリ・ワーカを甘く見るなよ! 後になって後悔しても遅いからな!!」
 今度は杖を突き出すことはせずに、マニュアは魔王に向かって言った。少し勉強したようだ。
 魔王はそれに、ふっ……と笑い、
「なら、いい加減本気で最終決戦始めないか?」
 と、至極まともな言葉を返したのだった。
「「「「「「「「「ごもっともです!!!!」」」」」」」」」

 そして、最後に、アリスとアルトの漫才(?)が。
「――今回の章、必要あったかな…………!?」
「それを言ったらおしまいですよ」