グローリ・ワーカ 〜Next Stage〜   第1章:赤と青の攻防戦

「よーし、もらったぁ! せんてひっしょー!」
 ストームが飛び跳ねる。
 ボールを持っていないアルトに向かって、青いボールを投げた。
「ひゃぁ!」
 それを飛び跳ねて避ける。ボールはアルトを通り過ぎて、遠くへと行ってしまった。
「あっ! ちくしょー」
「スキありっ!」
 そこをすかさず狙ったのはミリアだった。
 赤いボールをストームに向かって投げる。
「うおっ!?」
 掛け声でボールに気付き、ストームはそれをすんでのところでかわした。
「あ、あぶねーっ!」
「あと少しだったのにー!」
 悔しそうにミリアが叫ぶ。
「はっはっはっ。甘い!」
 ギリギリだったくせに、胸を反らして笑うストーム。
「……ゆだんたいてき、っすよ」
「え?」
 おもわず声のほうを見た。
 目の前にいるアルトが、いい笑顔でこっちを見ている。――手に赤いボールを持って。
 彼女は、ミリアが投げたボールを見事取っていたのだった。
「うおぉぉぉぉ!?」
 アルトがストーム目がけてボールを投げた。
 それを、叫び声を上げながら、なんとかまたギリギリのところで避ける。
「すばしっこいっすねぇ」
「まぁ、狙えば倒せるっしょ」
 今度は、アリがそのボールを手にして、ストームを狙っていた。
「ひ、ひきょーだぞ、おめーらああああああ!!!!」
 ストームの声が響く。
「えーと……ストーム!」
 ニールがストームを助けようと、アリに向かって青いボールを投げた。
「わわっ!」
 それを避けるアリス。
「惜しかった」
「って、またボール向こう行っちまったじゃねーか!」
 ストームがニールに向かって怒鳴る。
「安心しろ。ストームがさっき投げたの、拾ってある」
 そう言って、ニールは投げたのとは反対の手にもう1つ青いボールがあるのを見せた。
「ナイス! こっちに投げろ!」
「よし、パス!」
「させないっす!」
 アルトが石を拾い上げ、ボールに向かって投げた。
 なんというコントロールか。石はしっかりとボールに当たり、その軌道を逸らした。
「ああああああああああ!!!!」
「残念だったね!」
 アリが、今度こそストームに向かって赤いボールを投げる。
「オレサマばっかり狙いやがって――――――――!!!!」
 ストームの泣き言が響き渡った。

「なんか、すごい……」
「で、君は投げないの?」
 少年が、5人が投げ合っている様子を感心して見ている少女に向かって、尋ねる。
「あ、な、投げる」
 少女は投げてみたが、それは少年の元まで届かず、手前で勢いをなくし、地面に落ちた。
「あ……」
 残念そうにボールを見る少女。
「あー。残念だったね。じゃ、今度はこっちの番」
「え?」
 いつの間に拾ったのか。少年は青いボールを手にしていた。
「わ、わ」
「俺、べつにこっちのチームが勝とうとは思ってないんだけどなー。公園はみんなのもんだし」
「え……?」
 ボールを防ごうと、顔の前に両腕を身構えた少女に、少年は言った。
 少女がおもわず腕を下ろす。
「でも、俺、やるなら全力だから!」
 負けず嫌いなのか、手を抜くのはプライドが許さないのか、なんなのか。
 少年は振りかぶった。
「や、やぁ――――――っ!」
 少女が悲鳴を上げた。