今年も、ピンク色の花が、一面に咲き乱れた。
 ――そう。三年前にも、こんな景色を見たよね。

 あの頃は、これから始まる出来事に胸を膨らませていた。
 この景色と、君の後ろ姿を見つめていた。
 君を追い掛けて、辿り着いた景色だった。

 君と出逢えたのも、こんな季節だったっけ。
 今からもう、ずっと昔の――
 まだあの頃は、君という存在を知らなくて。
 見掛けたかもしれないけれど、心に住処はなかったし。
 名前を聞いたところで、誰? それくらいの存在だった筈で。
 ……でも、だんだんと……
 君と知り合って、いつしか、君という存在で、私の心は出来上がっていた。
 君が居なかったら、今の私は居ないんだと……

 風が吹いた。
 ピンク色の花弁が、青空に舞った。

 出逢いと――別れの季節。

 また出逢えるよね? と……
 私は、君に微笑み掛けた。
 君は、そうだといいな。って、笑い返してきた。

 青空に、ピンク色の――桜が咲き乱れ、舞い散る景色の中、私達は背中を向けた。

 もう1度、この景色で出逢える奇蹟を信じて――――




 後書です。
 はい。ども、『川柳えむ』です。
 この物語はテーマ『桜』な上に、某小説の某キャラをイメージしたものなので、正直、誰かの一文字の方に移動してもいいくらいですが、イメージしただけであってそのキャラクターに起こった出来事ではないので、あえてこっちにアップしました。
 だって、あの物語のオチがこんなだったらイヤ……(涙)
 ↓に書いている『初出』は、最初にぱーっと書いてみた日です。古い作品多いよ……
 ――って書いてたくせに、なんとなくShort Storyから誰かの一文字の方に移動してみた。いろいろとね!(謎) ――2010/09/30

エンタメクラブ 木谷笑

――――2008/02/24 川柳えむ