君のいなくなった季節がまたやってくるよ。
 何度目かの時、巡り。
 優しい季節がまたやってくる。





  優しい季節





 桜の花びらが静かに舞っている。
 大きく枝を、花を、広げているその桜を見上げて、そっと思い出す。

 君のいなくなった季節がまたやって来たよ。

 あれからどれだけの時間が巡ったのだろうか。
 暖かい陽射しが僕を包む。
 そんな、優しい季節がまたやって来た。

 そして、ふと考える。

「君はそちらで元気にしていますか?」

 あぁ。せめて、あの頃よりも、笑っているといいなぁ。
 随分ともう、姿を見ていないけれど……。

 あの頃、「苦しい」と泣いた君が、今、もうここにはいない。
 君がいなくなって、そうして、僕らの心にちくりと、棘のように残していったものが痛い。
 それは、僕らの罪だろうか? 君を救えなかった罰なのだろうか……?

 僕が今願うことは、そう、せめて。
 君の旅立ったその先が、こんな風に暖かい場所であるように。
 桜の花びらが舞う、そんな優しい場所であるように……。

 君が旅立って、そちらで元気取り戻していればいいと、そんな風に願う。
 ねぇ。君に、僕の声が聴こえますか? せめて、幸せを願わせてください。

 いつか君の歩む未来が どうか 優しいものであるようにと……。

 そして、その頃、大きく花開く桜が、君を優しく包んでくれればいい。
 そう願って、君の旅立ったその場所に、どうか、きれいな花が咲くようにと、1本の苗を植えた。

 優しい季節が、君へ、そっと、幸せを運びますように。




 最近は、チラシの裏の束とShort Storyの区別が付かなくなりつつありますね……。
 スランプ酷過ぎてさらっとこんな更新。
 前に歌詞風に書いたものをちょっと書き換えたので、こんな感じになっています……。
 一応、勝手に、モデルがいたりするお話です。
 ――結局、Short Storyからチラシの裏の束へと移動しました。 ――2014/07/11


――――2014/03/31 川柳えむ