グローリ・ワーカ   第2章:災難

 3人と1匹が着いたのは、ルクスという町。
 ぐったりしながらマニュアが叫ぶ。
「あ――――……っ!! つっかれた――! この町に着いた人なんているんかね?」
 いるじゃん、ここに。と、おもわずツッコんでみる。
「でも――なんでこんな魔物がいっぱい出るような森の合間に……?」
「どうやって作ったんだぁ?」
 ティロの町でも森を越えたが、それの比ではないくらいに、このルクスの周囲の森には魔物が潜んでいた。
 さらに言うと、ルクスでは四方八方すべてが森に囲まれていて――3人は知らなかったのだが、その森は『迷いの森』とも呼ばれているのだ。
 それを考えると、ここまで辿り着けたのは運がいいとも言える。
「もう。とにかく、宿、行こ!!」
 ――早く休みたい。そう思い、マニュアは駆け出した。
 町に踏み込んだそのとき、町の人々が3人のほうを向いた。
 いっしゅんの沈黙。
「え? な、に……?」
 おもわず立ち止まる。
 次の瞬間――
「う、うぁ〜〜ん。ママァ〜〜」
「坊や! 早く、隠れなさい!」
「キャ――――ッ! イヤぁ〜〜っ!!」
「に、逃げろ――――――っ!」
 町の人は口々にそう叫ぶと、家の中に隠れてしまった。
「な、なに、ナニっ!?」
 それはいっしゅんの出来事で。あっという間に通りには人っ子1人いなくなってしまった。
「なぁーんか……あんまり歓迎されてないみたいだねぇ……」
 ティルが呆然と呟いた。
「な、なんかヘンだよ、この町……。みんな隠れちゃった」
 マニュアもよくわからないといった表情で言った。
「ホワイト。そりゃ、おまえが怖かったんだろー?」
 そこへ、ストームが余計なコトを言う。
「ほほう?」
 バキョ!!!!
 ストームの頭が地面にめり込んだ。
「――それにしても、宿、入れてもらえるかなぁ……」
 ティルが言う。
「「「うーん……」」」
 一抹の不安を抱えつつ、3人と1匹は宿へと向かった。