僕の生存日記   第10話:彼のロボットがこんなにメチャクチャなわけがない

 夏休み初日、なんか妙なことに巻き込まれて『川野辺 葉乃』はよくわからない・イン・『千羽 緋路』宅。
『神成 躍人』、『黒井 姫』、『今池 輝也』の出番は(以下略)。
 ……あの、今回の話って、必要あったかな……!?

『オ兄チャン! コンナ私ヲ庇ッテクレテ、アリガトウ! 嬉シイ……! コレカラハ、オ兄チャンノコト、私ガ守ルカラ……! ズットズット一緒ニイテネ!』
 なんかJr.が妹化した。ていうか、男でも女でもないのか、別に。
『エ? ア、ハ、ハイ』
 1stも戸惑っている(ように見える)。
 ――ま、まぁ、とにかく。
「とにかく、部屋を片付けてゲームの続き、かな?」
 ぐちゃぐちゃの部屋を見渡して言う。……結構被害甚大だけど、大丈夫なの、これ。
 とりあえず、その辺に散らかった本やら機械やら工具やらを片付けようとすると、
『ア、ソレハ私タチガ片付ケマスノデ。散ラカシテシマイ、申シ訳アリマセン。ゴ主人様タチハ、ゲームノ続キヲオ楽シミクダサイ』
 そう1stが言ってくれた。
 まぁ、そもそもこの惨状を生み出した本人たちなんだし、頼んでもいいだろう。
「うん、じゃあ、お願いしていいんだよね?」
「あ、そうだ。思わずなにも持ってこないで走ってきちまった。飲み物と、あとおやつ持ってこようと思ってたんだったな。葉乃、ちょっとそこで待ってて」
「あ、うん。あ、でも、ゲームちょっと詰まっちゃってるから。一緒に行くよ。で、その後でちょっと見て」
「いいのか?」
「別にいいよ。運ぶの手伝う」
 そうして、この部屋のことはロボット2体に任せ、僕らは2人で1階へと降りていった。

 コーラやウーロン茶、ケーキやらスナック菓子をお盆に載せたりして、僕らは2階の千羽の部屋へと戻ってきた。
 扉を開けようとして、中から声がするのに気付いた。1stとJr.がなにかを話しているみたいだ。
『オ兄チャン。ゴメンネ。コンナコトサセチャッテ』
『別ニ、Jr.ノセイダケジャナイデスカラ』
『オ兄チャン……! 本当ニ、ズットズーット一緒ニイテネ! 世界ガ終ワッテモ、ズット……』
『ハ、ハイ?』
『浮気ナンカシチャダメダヨ。浮気シタラ、私、ナニスルカワカラナイヨ……?』
『エ!?』
『浮気スルノ? オ兄チャンノ世界ガ、私ダケニナッタライイノニ……。コノ世界ニ、オ兄チャント私、2人ダケ……』
『チョット待ッテクダサイ』
『ナニヨ! ホカノ女ノ方ガイイッテイウノ!? 一緒ニイテクレルッテ言ッタノハ嘘ダッタノ!?』
『エェェ!?』
『他ノ人ナンテイラナイ!』
『イエイエ、ナンテコトヲ言ウンデス!』
『オ兄チャンノコトヲ世界デ1番ワカッテルノハ、私! 私ナノ!!』
(アカン)
 Jr.がヤンデレ妹化している……。
「Jr.の気持ち、わかる気がする……」
 隣でボソリと言う、わかっちゃったらしい千羽。こわい。
「ていうか、このままだとまたまずいんじゃないのか?」
 千羽に言うと、彼は焦ったように扉を開けた。
『ア、ゴ主人様……!』
『……』
 Jr.が睨んでくる(ような気がする)。
『エ、エット、Jr.』
『ナァニ、オ兄チャン!』
 1stが話しかけると、Jr.は目をハートにして(いるような感じで)答える。
『大丈夫デスヨ。一緒ニイマスカラ。一緒ニゴ主人様ヲオ守リシテイキマショウネ』
『――ウンッ!』
 ちゃんとフォローまでするとは……。
 1stはすごいなあ。1stはイケロボだ。ぼくにはとてもできない。
「んじゃ、さくっとゲームの詰まってたとこ、進めていきますかー」
「そうだね」

 そんなこんなで、夏休みの初日はわけのわからない出来事に巻き込まれて過ぎていったのだった。
 初日からこんなだなんて……。
 月曜からは部活も始まるし。
 今回のことは部活とは関係ないけど、正直、先が思いやられる……。思わずため息が漏れるのだった。