僕の生存日記   第3話:夢の中へ行ってみたいと思えません

 『川野辺 葉乃』は『千羽 緋路』と『今池 輝也』の2人の攻防を見ていた。『黒井 姫』さんは今頃教室で昼ご飯食べてるんだろうなぁ。もう食べ終わったかなぁ。いい加減お腹空いてきたなぁ。
 『神成 躍人』は今回出番がないようです。

 千羽と今池君。お互い言い争いが続ていく。僕は見守ることしかできなかった。
「俺に男をヤル趣味はねーよ!!」
「つーか、男とか女とか関係ないんだよ!お前は何も葉乃のいいとこ分かってない!」
 千羽が言い放つ。
 一瞬、今池君が止まった。
 思わず、僕は今池君を真っ直ぐ見据えたままの千羽の顔を見ていた。
 千羽は続ける。
「葉乃は顔がかわいいだけじゃないんだ!全てかわいいんだよ!!」

 かわいいとか言われても嬉しくNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!

「……知るかよ!女じゃねーなら意味ねーよ!」
 今池君は相変わらず怒っている。
 態度の変わらない今池君を見て、千羽は少し考えた後、言った。
「……よしっ!決めたぞ!!」
 ん?
「お前もうちの部活入れ!!葉乃のいいところをみっちり教えてやる!!」
 いらねええええええええええええええええええええええ!!!!

「待て待て。俺はこの学校に入ったらサッカー部に入るって決めてたんだよ、モテるからな。なのに、何でお前の言う部活に入らなきゃなんねーんだよ」
 今池君が断るのももっともだ……理由がさすがだけど。
「うちの学校は掛け持ちも可能だ!転校生みたいだから知らんかもしれんが、問題ない!」
 千羽が言い放つ。
 って、え?今池君、転校生?
「あ、言われてみれば、制服が違う」
 うちの小竜高校は男の制服は学ランタイプなのだが、今池君が着ていたのはブレザーだった。
「あぁ。これは前の学校の制服。こっちに引っ越してくる際に制服が間に合わなかったから、このまま着てるんだ。それに、この学校の制服よりもこっちのがカッコイイしな」
 ……彼は、本当にそーゆーことしか考えてないみたいだ。
「でも、まぁ、確かにカッコイイけどね。今池君には似合ってるってゆーか」
 ふと思ったことを言った。
 今池君は僕を見て、嬉しそうに、
「だろー!?俺、カッコイイしな!!あはは!」
 はははははは……こーゆーとこがなければ、もっとカッコイイかもしれないのに。
 あと、女の子の前で態度変えるのがなければね……
 思わず……苦笑いだが、一緒に笑った。
 今池君が笑うのを止めて僕を見る。
「……やばいな」
「へ?」


 次の瞬間。
 何が起きたのか、一瞬分からなかった。


「※★○×↑△*@〜〜〜〜!!!!????」

 僕は、今池君に――抱き締められていた。
「やばいな。確かにかわいいかもしれん。今からでも遅くない。性転換するんだ」
「っててててててて、てめええええええええええええええええええええええ!!!!」
 千羽が慌てて今池君を突き飛ばす。そして、どさくさにまぎれてというか。僕を抱き締める。

 モウボクハダメダ。色んな意味でダメダ。泣いてイイデスカ?

「俺の葉乃に何すんだああああああああああ――――――――ッッ!!!!!!」
 お前のじゃねー(泣)
 今池君は起き上がると、
「……ふんっ。お前の言う部活に入ってやるよ」
 さっきの返事をした。
 千羽は僕をますますきつく抱き締めると、
「やっぱお前いらねー!!!!」

「っつーか、もうBLは勘弁してくれええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」

 僕の叫び声が校舎内にこだました……