僕の生存日記 第6話:事件は遊園地で起きてんだ(前編)
僕、『川野辺 葉乃』は、現在、『千羽 緋路』から貰った2枚の遊園地チケットを手に、かわいいクラスメートの『黒井 姫』さんをどう誘うかあたふたしてます!
『神成 躍人』と『今池 輝也』? 存在忘れてた。
――って、そもそも、考えてみれば。
黒井さんをそんなナチュラルに誘えるってーのか!
それ以前に、千羽が好意的にこんなことするって! なんか怪しくないか!?
悩みながら学校の玄関を後にする。
とりあえず、黒井さんは僕より少し先に帰っていったから……今走れば追いつけるかなぁ? 帰る方向は途中まで同じなんだよね。
さぁ、どうするかどうしようか――。
「あれ? 川野辺くん?」
「 ぎ ゃ あ !!!! 」
突然背後から声を掛けられ、思わず悲鳴を上げる僕。
振り返ると、そこには――、
「くくくくくく黒井さん!?」
そう、先に帰ったはずの黒井さんがいたのだ!
「なぜここに!?」
「えっと、ちょっと職員室に寄ってたんですけど、忘れ物をして教室に戻って~。で、そこで千羽くんと会いましたよー。なんだか、川野辺くんが私を探してるって聞いたので~」
ぐは! 千羽、余計なことを! ありがたいけど!
「で、私も用事があったんです~」
――って、え?
黒井さんからの思わぬ言葉に耳を傾けると、
「あの、その、この間――なんだか気付いたら川野辺くんの傘を持って帰ってきてしまったみたいで~……」
あぁ、この間(第5話)の、黒井さんが豹変したときの……。
傘のことなんてすっかり忘れていた。別に返してもらおうとも考えてなかった。
黒井さんは申し訳なさそうに続けた。
「持ってこようとはしたんですが~……、その、なぜか止められてしまって~……」
そりゃ当然止められる。また黒姫さんが現れたら敵わない。
しかし、黒井さんはすっかり小さくなってしまって、
「どうしましょう~」
と困ったように呟いていた。
僕は慌てて、
「いや、別に傘の1本や2本、全然気にしなくていいし!」
「でもぉ……」
このままでは気が済まないという顔。
ここで、なにを思ったのか。――もしや熱でもあったのか? 僕は自分でも驚くべきことを言った。本当、よく言った!!
手に持った2枚のチケットを突きつけて、言ってしまった。
「あ、じゃあ、あの、代わりに――僕と一緒に遊園地に行きませんか!?」
「ふぇ?」
い、言った。本当に言ってしまった。
黒井さんは、少しの間の後、目を丸くして、
「え、え? 無料チケット……? ――え。そんな、でも、それじゃあ、私ばっかり得してます~!」
困ったように言う。
僕はさっきよりも更に慌てて、
「あ、その、いや、でも、一緒に行く人、いなくてっ……! も、もったいないしさ。い、いやならいいけど、でも、その、よければ、その……!」
真っ赤になりながら、2枚のうち、1枚のチケットを黒井さんに向けて差し出す。
黒井さんは、暫くそれを見つめていたが、ゆっくりと受け取ると微笑んで、
「あの……じゃあ、よろしくお願いします」
――~~~~~~ッッ!!!!☆☆
やべぇ。なにこの笑顔。超トキメクわ。破壊力抜群。
「でも、傘の代わりがそんなのでとても申し訳ないんですけど~……」
黒井さんがまだそんなことを言っている。
「いいの! 僕がそう言ってるんだから、いいんです!」
思わず興奮してそう答えていた。
――こうして、僕らは今度の土曜に遊園地へ行くこととなった。
僕、『川野辺 葉乃』は、現在、『千羽 緋路』から貰った2枚の遊園地チケットを手に、かわいいクラスメートの『黒井 姫』さんをどう誘うかあたふたしてます!
『神成 躍人』と『今池 輝也』? 存在忘れてた。
――って、そもそも、考えてみれば。
黒井さんをそんなナチュラルに誘えるってーのか!
それ以前に、千羽が好意的にこんなことするって! なんか怪しくないか!?
悩みながら学校の玄関を後にする。
とりあえず、黒井さんは僕より少し先に帰っていったから……今走れば追いつけるかなぁ? 帰る方向は途中まで同じなんだよね。
さぁ、どうするかどうしようか――。
「あれ? 川野辺くん?」
「 ぎ ゃ あ !!!! 」
突然背後から声を掛けられ、思わず悲鳴を上げる僕。
振り返ると、そこには――、
「くくくくくく黒井さん!?」
そう、先に帰ったはずの黒井さんがいたのだ!
「なぜここに!?」
「えっと、ちょっと職員室に寄ってたんですけど、忘れ物をして教室に戻って~。で、そこで千羽くんと会いましたよー。なんだか、川野辺くんが私を探してるって聞いたので~」
ぐは! 千羽、余計なことを! ありがたいけど!
「で、私も用事があったんです~」
――って、え?
黒井さんからの思わぬ言葉に耳を傾けると、
「あの、その、この間――なんだか気付いたら川野辺くんの傘を持って帰ってきてしまったみたいで~……」
あぁ、この間(第5話)の、黒井さんが豹変したときの……。
傘のことなんてすっかり忘れていた。別に返してもらおうとも考えてなかった。
黒井さんは申し訳なさそうに続けた。
「持ってこようとはしたんですが~……、その、なぜか止められてしまって~……」
そりゃ当然止められる。また黒姫さんが現れたら敵わない。
しかし、黒井さんはすっかり小さくなってしまって、
「どうしましょう~」
と困ったように呟いていた。
僕は慌てて、
「いや、別に傘の1本や2本、全然気にしなくていいし!」
「でもぉ……」
このままでは気が済まないという顔。
ここで、なにを思ったのか。――もしや熱でもあったのか? 僕は自分でも驚くべきことを言った。本当、よく言った!!
手に持った2枚のチケットを突きつけて、言ってしまった。
「あ、じゃあ、あの、代わりに――僕と一緒に遊園地に行きませんか!?」
「ふぇ?」
い、言った。本当に言ってしまった。
黒井さんは、少しの間の後、目を丸くして、
「え、え? 無料チケット……? ――え。そんな、でも、それじゃあ、私ばっかり得してます~!」
困ったように言う。
僕はさっきよりも更に慌てて、
「あ、その、いや、でも、一緒に行く人、いなくてっ……! も、もったいないしさ。い、いやならいいけど、でも、その、よければ、その……!」
真っ赤になりながら、2枚のうち、1枚のチケットを黒井さんに向けて差し出す。
黒井さんは、暫くそれを見つめていたが、ゆっくりと受け取ると微笑んで、
「あの……じゃあ、よろしくお願いします」
――~~~~~~ッッ!!!!☆☆
やべぇ。なにこの笑顔。超トキメクわ。破壊力抜群。
「でも、傘の代わりがそんなのでとても申し訳ないんですけど~……」
黒井さんがまだそんなことを言っている。
「いいの! 僕がそう言ってるんだから、いいんです!」
思わず興奮してそう答えていた。
――こうして、僕らは今度の土曜に遊園地へ行くこととなった。