僕の生存日記 第7話:事件は遊園地で起きてんだ(後編)
やっほー! 僕、『川野辺 葉乃』!『千羽 緋路』に貰ったチケットを使って、現在、『黒井 姫』さんとデート中! 楽しい!
『神成 躍人』と『今池 輝也』なんて知りません。
お化け屋敷を目指して。
黒井さんと2人、並んで歩く。
おもわず少し緊張してしまうが、よっぽど楽しいのか、黒井さんがいつもよりもいっぱい喋ってくれる。
当然、僕だって緊張だけじゃなくて、楽しいんだけど!
黒井さんが喋ってくれるので、会話に困ることなんてなかった。普段はおとなしいイメージがある彼女だが、こんな一面もあるんだと、それが知れてすごく嬉しかった。
さて、お化け屋敷へとついた。
――うん。なんだか、思ったよりおどろおどろしい雰囲気……。まぁ、お化け屋敷だし、当たり前か……。
そうして、2人でいざ入ろうとしたときだった。
「やぁやぁ、お2人さん。このお化け屋敷に入るんですか?」
誰かに声をかけられた。2人して振り返る。
……なんだ、こいつら。
そこには、全身真っ黒な服(RPGにありそうな魔法使いのローブ?)を着て、フードを深くまですっぽりとかぶった、いかにも怪しい2人組がいた。
もう本当、メッチャ怪しい!
――というか、なんだか声にすごく聞き覚えがある気がするのだが、気のせいだろうか?
「はい~」
黒井さんはそんなこと気にもせずに答える。
「そうですけど……。えーっと、なにか……?」
僕は少し警戒して2人を見た。
声をかけてきた人物は咳払いをすると話し始めた。
「えーっと、現在このお化け屋敷の特別限定グッズがございまして。……興味ありませんか?」
フードに隠れて表情はわからないが――とにかく、怪しい。
こんなの相手にしない方がいいな……。
「特別限定グッズ……? 興味ありますぅ」
と思った矢先、あっさり黒井さんが釣れていた。黒井さんっ!(汗)
「そうですか。では、特別に! ご覧ください、このドクロ!」
そいつは明るい声でそう言うと、なにかを僕らに向けて差し出した。
――それは精巧なドクロだった。なんだ、意外とまともじゃないか。
「うっわぁ~……! すごいですぅ。キレイです!」
黒井さんが目を輝かせて言う。
僕もおもわず感心して頷いた。
「へぇ。見事なもんだねぇ」
黒井さんがすかさずそいつに尋ねる。
「これ、いくらですかぁ?」
その言葉を聞くと、そいつはゆっくりと両手を広げた。
「10万円です」
「「じゅっ…………!!!!」」
おもわず僕らは固まってしまった。
いやいや、いくらなんでもそれはない!!
「え、えっと、あの……」
黒井さんが困ったような表情をする。
うぅ。その表情を見てると、買ってあげたくなる……。
「安くなりませんか?」
僕はダメ元で訊いてみた。
しかし、そいつは答えた。
「や、安くはできませんよ。なんたって、特別限定グッズですから!」
買ってあげたいけど……! ――た、高い……! なんたって10万……。さすがに、無理だ、さすがに……。
「…………川野辺くん」
黒井さんが僕の名前を呼んだ。
「ん?」
僕は少し迷いつつも返事をする。
そこへ、黒井さんが意外な言葉を口にした。
「……残念ですけど、行きましょう」
「「え!?」」
僕も、そして売りつけてきたそいつも、2人して驚いていた。
「でも、黒井さん。これ、欲しいんじゃ……」
買えるわけないが、おもわず確認してしまう。
黒井さんは予想外に笑って言った。
「さすがに高すぎて買えませんよぉ! それより早く中に入りましょ~!」
「い、いいの?」
その言葉に、もう1度確認する。
「はい」
彼女は笑顔だ。
本当は欲しいだろうに、それでも笑顔で諦めるんだ。
あぁ、僕にもっと財力があればなぁ……。
「黒井さん、ごめんね」
おもわず僕は謝っていた。
黒井さんは不思議そうに僕を見て言う。
「なんで川野辺くんが謝るんですか? さ、行きましょう~!」
気を遣ってくれているのだろうか?
わがまま1つも言わないし、デートでプレゼントの1つもあげることのできない男に文句も言わず笑ってくれるし……、そういえば会話も全部リードしてくれてるし、さらにそういえばクラスでも彼女は孤立しがちな僕のことを気にせず話しかけてくれるし、いつもいつも笑顔だし――すごくいい子だよね……。
なんだか胸が締め付けられた気がした。そして、急に体中の熱が顔に集まったことに気付いた。
「――…………!!!!」
なんだろう、なにかにはっきりと気付いてしまいそうだ。
「い、行こう!」
ごまかすように声を上げた。
僕はすごく恥ずかしくなって、彼女の顔をまともに見れずに、ただまっすぐお化け屋敷の入り口を目指すことにした。
――と、そのとき。
「待て」
「はい?」
おもわずまた振り返った。
僕らを引き止めたのは、怪しい2人組のうちのまったく喋っていなかった1人だった。
そいつは恐ろしい気迫のこもった声で言った。
「おいこら……。買っていけよ……!」
――……ひ――――――――っ!
僕らはおもわず縮み上がった。
な、な、こええよ!!!!
ていうか、これ、誰かを思い出すような――!?
「押し売りはまずいです!」
1番売りつけようとしていたやつが、そいつを止める。
――なんなんだこの2人組は!
「いいのか、買わせなくて!」
怖い方が言う。もう1人は必死に怖い方を抑えている。
――こいつらと関わり合いになるのはヤバイ。本能がそう告げた。
僕は黒井さんの手を引いて、その場から逃げるように立ち去った。
……はぁ。なんなんだ、いったい?
やっほー! 僕、『川野辺 葉乃』!『千羽 緋路』に貰ったチケットを使って、現在、『黒井 姫』さんとデート中! 楽しい!
『神成 躍人』と『今池 輝也』なんて知りません。
お化け屋敷を目指して。
黒井さんと2人、並んで歩く。
おもわず少し緊張してしまうが、よっぽど楽しいのか、黒井さんがいつもよりもいっぱい喋ってくれる。
当然、僕だって緊張だけじゃなくて、楽しいんだけど!
黒井さんが喋ってくれるので、会話に困ることなんてなかった。普段はおとなしいイメージがある彼女だが、こんな一面もあるんだと、それが知れてすごく嬉しかった。
さて、お化け屋敷へとついた。
――うん。なんだか、思ったよりおどろおどろしい雰囲気……。まぁ、お化け屋敷だし、当たり前か……。
そうして、2人でいざ入ろうとしたときだった。
「やぁやぁ、お2人さん。このお化け屋敷に入るんですか?」
誰かに声をかけられた。2人して振り返る。
……なんだ、こいつら。
そこには、全身真っ黒な服(RPGにありそうな魔法使いのローブ?)を着て、フードを深くまですっぽりとかぶった、いかにも怪しい2人組がいた。
もう本当、メッチャ怪しい!
――というか、なんだか声にすごく聞き覚えがある気がするのだが、気のせいだろうか?
「はい~」
黒井さんはそんなこと気にもせずに答える。
「そうですけど……。えーっと、なにか……?」
僕は少し警戒して2人を見た。
声をかけてきた人物は咳払いをすると話し始めた。
「えーっと、現在このお化け屋敷の特別限定グッズがございまして。……興味ありませんか?」
フードに隠れて表情はわからないが――とにかく、怪しい。
こんなの相手にしない方がいいな……。
「特別限定グッズ……? 興味ありますぅ」
と思った矢先、あっさり黒井さんが釣れていた。黒井さんっ!(汗)
「そうですか。では、特別に! ご覧ください、このドクロ!」
そいつは明るい声でそう言うと、なにかを僕らに向けて差し出した。
――それは精巧なドクロだった。なんだ、意外とまともじゃないか。
「うっわぁ~……! すごいですぅ。キレイです!」
黒井さんが目を輝かせて言う。
僕もおもわず感心して頷いた。
「へぇ。見事なもんだねぇ」
黒井さんがすかさずそいつに尋ねる。
「これ、いくらですかぁ?」
その言葉を聞くと、そいつはゆっくりと両手を広げた。
「10万円です」
「「じゅっ…………!!!!」」
おもわず僕らは固まってしまった。
いやいや、いくらなんでもそれはない!!
「え、えっと、あの……」
黒井さんが困ったような表情をする。
うぅ。その表情を見てると、買ってあげたくなる……。
「安くなりませんか?」
僕はダメ元で訊いてみた。
しかし、そいつは答えた。
「や、安くはできませんよ。なんたって、特別限定グッズですから!」
買ってあげたいけど……! ――た、高い……! なんたって10万……。さすがに、無理だ、さすがに……。
「…………川野辺くん」
黒井さんが僕の名前を呼んだ。
「ん?」
僕は少し迷いつつも返事をする。
そこへ、黒井さんが意外な言葉を口にした。
「……残念ですけど、行きましょう」
「「え!?」」
僕も、そして売りつけてきたそいつも、2人して驚いていた。
「でも、黒井さん。これ、欲しいんじゃ……」
買えるわけないが、おもわず確認してしまう。
黒井さんは予想外に笑って言った。
「さすがに高すぎて買えませんよぉ! それより早く中に入りましょ~!」
「い、いいの?」
その言葉に、もう1度確認する。
「はい」
彼女は笑顔だ。
本当は欲しいだろうに、それでも笑顔で諦めるんだ。
あぁ、僕にもっと財力があればなぁ……。
「黒井さん、ごめんね」
おもわず僕は謝っていた。
黒井さんは不思議そうに僕を見て言う。
「なんで川野辺くんが謝るんですか? さ、行きましょう~!」
気を遣ってくれているのだろうか?
わがまま1つも言わないし、デートでプレゼントの1つもあげることのできない男に文句も言わず笑ってくれるし……、そういえば会話も全部リードしてくれてるし、さらにそういえばクラスでも彼女は孤立しがちな僕のことを気にせず話しかけてくれるし、いつもいつも笑顔だし――すごくいい子だよね……。
なんだか胸が締め付けられた気がした。そして、急に体中の熱が顔に集まったことに気付いた。
「――…………!!!!」
なんだろう、なにかにはっきりと気付いてしまいそうだ。
「い、行こう!」
ごまかすように声を上げた。
僕はすごく恥ずかしくなって、彼女の顔をまともに見れずに、ただまっすぐお化け屋敷の入り口を目指すことにした。
――と、そのとき。
「待て」
「はい?」
おもわずまた振り返った。
僕らを引き止めたのは、怪しい2人組のうちのまったく喋っていなかった1人だった。
そいつは恐ろしい気迫のこもった声で言った。
「おいこら……。買っていけよ……!」
――……ひ――――――――っ!
僕らはおもわず縮み上がった。
な、な、こええよ!!!!
ていうか、これ、誰かを思い出すような――!?
「押し売りはまずいです!」
1番売りつけようとしていたやつが、そいつを止める。
――なんなんだこの2人組は!
「いいのか、買わせなくて!」
怖い方が言う。もう1人は必死に怖い方を抑えている。
――こいつらと関わり合いになるのはヤバイ。本能がそう告げた。
僕は黒井さんの手を引いて、その場から逃げるように立ち去った。
……はぁ。なんなんだ、いったい?