僕の生存日記   第7話:事件は遊園地で起きてんだ(後編)

『川野辺 葉乃』です!『黒井 姫』さんとのデート中、変なのに絡まれたりしてるけど、それでもなんとか振り払って頑張ってます。
 あ、『神成 躍人』と『千羽 緋路』、『今池 輝也』は出てこなそうです。

「はぁ……。なんだったんだろ、いったい……」
 お化け屋敷の入り口をくぐり、少し落ち着いた僕は肩で息をした。
「あの……川野辺くん……」
「え?」
 黒井さんに声をかけられ、ふと彼女を振り返る。そして気付いた――僕、とっさに彼女の手を掴んで引っ張ってきていた……。
「うわああああああああ!!!!!!」
 おもわず真っ赤になってその手を離す。
「あっ、あ、あの、ごめん! えっと、その、て、手!」
 焦って弁解するが、上手く言葉にならない。
 黒井さんはそんな僕を見てくすっと笑った。
「どうしたんですかぁ。川野辺くん、なんだか面白いです」
「え? えっと……」
 その笑顔がまたかわいくて……。なんかいつもかわいいばっかり出てきちゃうな。いやもう本当、黒井さんヤバイな……。
「あ。ここ、1本道なんですけど、途中でいろいろ仕掛けがあるみたいなんで、一緒に行きましょう〜」
 黒井さんがまっすぐ続く道のその奥を指差して言った。
 一緒……一緒か……。
 はっ! べ、別にニヤニヤなんてしてないんだからね!
 まぁそんなこんなで、僕は黒井さんと並んで進み始めた。

 なかなか怖いお化け屋敷ではあるが、黒井さんといるとそれも楽しくて、僕たちは笑いながら話をしていた。
 しばらく歩くと、突然目の前に火の玉、そしてドクロが浮かび上がった。
「わぁ」
 黒井さんが興味津々で近付く。
 僕も黒井さんの後ろについていこうと――、

 パァン!!!!

「うわっ!?」
 突然の破裂音に、僕はびっくりして飛び上がった。
 なんだなんだ!?
 慌てて音のした方を見回す。別になにもない。
「あぁもう、びっくりしたぁ!」
 僕は気が抜けてため息をついた。
 そして、気付く。
「…………あれ?」
 誰かいない……。

「黒井さん……? 黒井さんは!?」

 焦って周囲をぐるりと見回してみるが、姿は見えない。

「黒井さん!!!!」

 僕は彼女の名前を呼びながら、猛ダッシュした。
 幸いここは一本道。
 きっとこの先にいるに違いない!
 不安になってないといいけど……!

 少し走ると、前方に黒井さんの立ち止まっている姿が見えた。
「黒井さん!」
 僕が呼ぶと気付いたようで、こちらを向いた。
「川野辺くん〜」
 彼女の元へ辿り着くと、僕はすぐさま謝った。
「ごめん。見失っちゃって」
 すると、黒井さんは大きく首を横に振って、
「そんな、こちらこそ……! 先来ちゃってすいません〜。はぐれたかと思ってびっくりしちゃいました……」
「1本道だし、ちょっとはぐれてもすぐ合流できるよ。迷子になることはないから大丈夫だって」
 僕がそう言うと、黒井さんは安心したようで、笑顔になった。
「はい、そうですね」
 そうして、僕たちは再び横に並んで歩き出した。