僕の生存日記 第7話:事件は遊園地で起きてんだ(後編)
どうも。『川野辺 葉乃』です! 今、『黒井 姫』さんと遊園地のお化け屋敷にいます! 正直お化けは苦手だけど、彼女と一緒ならすごく楽しい!
え? 『神成 躍人』と『千羽 緋路』、『今池 輝也』? 出てこないよ。
「はぁー! おもしろかったですぅ!」
お化け屋敷を出ると、そこにはお土産コーナーが待ち構えていた。
たくさんのホラーグッズに、黒井さんは目を輝かせている。うきうきで商品を見渡していた。
僕は思った。なにかプレゼントをしたいな、と。
お化け屋敷に入る前のドクロを諦めさせちゃったのもかわいそうだったし、それに、あんなにうきうきしてる黒井さんがかわいくて――。
僕もいろいろな商品を見て回った。
ボールペン、ストラップ、ハンドタオル、マグカップ……。アクセサリー……はさすがにちょっと恥ずかしい。
どれがいいかな? 種類が豊富で悩んでしまう。
その中で、一際目を引くものがあった。グラスだ。その透明なグラスの側面には、白くキレイに小さなドクロがデザインされていた。少しオシャレな感じがする。
これにしようと決めて、彼女がいろいろなおみやげを見ている隙にこっそり購入してみた。
彼女も1つ、自分でお化け屋敷のマスコットキャラ(らしい)のハンドタオルを購入していた。
そうして店を出たところで、僕は彼女に今買ったばかりのプレゼントを渡した。
「あの……これ」
「…………え?」
驚いた顔で僕を見る。
「えっと、さっきお化け屋敷の前でさ、ドクロあげられなかったし……代わりにはならないかもしれないけど」
「え、えぇ!? そ、そんな、川野辺くんが悩むことじゃないじゃないですか~!」
「で、でも、せっかくだし、もらってくれるとうれしい! ……です」
全力で断りそうな気配の黒井さんに、僕は顔を真っ赤にしてうつむいて言った。自分でも恥ずかしい……。
少し間があって、黒井さんが小さな声で言った。
「……じゃあ、あの、いただいちゃいますぅ……。ありがとうございます……」
僕の手からそれを受け取る。顔を上げると、少し赤くなっている黒井さんの顔が目に入った。
「あ、あの、開けてみていいですか?」
「あ、うん! もちろん!」
黒井さんがそっと包みを開けると、さっきのグラスが顔を覗かせた。
それと同時に、彼女の顔がぱぁっと明るく輝いた。
「わぁ……! ステキですぅ……!」
――~~~~ッッ!!
ステキなのはおまえだちくしょうっ!!!!
なんてまぁ言えるわけもありませんが。その表情はとてつもない破壊力だった。
「川野辺くん、本当にありがとうございます!」
笑顔をボクに向けてくる。僕はもうまともに彼女の顔を見られなかった。
「い、いや、本当……気にしないで……」
――1つ、確実にわかったことがある。
僕は、彼女のことが、本当に好きになってしまったんだと。
「じゃ、じゃあ、次、どこ行こうか!」
次に向かう場所を考えながら2人で歩き出した――その時。
「キャッ……!?」
突然、黒井さんが体勢を崩して、前のめりに転んだ。
「だっ、大丈夫!?」
大慌てで駆け寄る僕。
しかし、受け止めるとかできなかったのか! 僕ってダメなヤツ!
「大丈夫!? 怪我とかしてない!?」
黒井さんは上半身を起こすと、悲しそうな顔をして僕を見た。
ま、まさか、どこか怪我した!? 女の子に怪我させるとか、本当にダメダメだ!
――と、ショックを受けていた僕に、黒井さんは首を降って小さく声を漏らした。
「大丈夫――大丈夫ですけど……大丈夫じゃないんですぅ~……」
ちょっと言ってる意味がわからない。けど、大丈夫じゃないの!? ど、どうしよう! もう僕が責任を取って――!
「グラスが…………」
「え?」
見ると、先ほど僕が買ったグラスの入った箱が見事に潰れてしまっていた。これでは中身が無事なはずもない。
「あー……」
思わず溜息交じりの声が漏れる。その声を聞いてか、
「ごっ、ごめんなさい……!」
と、酷くショックを受けた様子で黒井さんが謝ってきた。
「い、いや、まぁしょうがないよ!」
僕は慌ててそうフォローをするが、黒井さんは本当に悲しそうで――、
「せっかく川野辺くんに買ってもらったのに……ごめんなさい……」
そんな風に小さくなってしまっている黒井さんもかわいいなぁ。ドジっ娘なのもありだなぁ。いいなぁ――なんて思ってる僕はダメな人間ですか。
「怪我がなくてよかったよ。そんな高いものでもないし、もう1個買うよ」
僕が笑ってそう言うと、彼女は驚いたような困ったような表情をした。
「でも……せっかく貰った物を、私のせいで割れちゃったのに、また買ってもらうなんて――……」
「気にしないで! 僕がそうしたいだけなんだから!」
断ろうとする黒井さんに、僕は強くそう言った。
本当に、彼女にそうしてあげたいって思ってるんだ。だから、断らないでほしかった。
その気持ちが伝わったのかどうかはわからないが、黒井さんは困ったように笑った。
「ごめんなさい。本当にありがとう……!」
どうも。『川野辺 葉乃』です! 今、『黒井 姫』さんと遊園地のお化け屋敷にいます! 正直お化けは苦手だけど、彼女と一緒ならすごく楽しい!
え? 『神成 躍人』と『千羽 緋路』、『今池 輝也』? 出てこないよ。
「はぁー! おもしろかったですぅ!」
お化け屋敷を出ると、そこにはお土産コーナーが待ち構えていた。
たくさんのホラーグッズに、黒井さんは目を輝かせている。うきうきで商品を見渡していた。
僕は思った。なにかプレゼントをしたいな、と。
お化け屋敷に入る前のドクロを諦めさせちゃったのもかわいそうだったし、それに、あんなにうきうきしてる黒井さんがかわいくて――。
僕もいろいろな商品を見て回った。
ボールペン、ストラップ、ハンドタオル、マグカップ……。アクセサリー……はさすがにちょっと恥ずかしい。
どれがいいかな? 種類が豊富で悩んでしまう。
その中で、一際目を引くものがあった。グラスだ。その透明なグラスの側面には、白くキレイに小さなドクロがデザインされていた。少しオシャレな感じがする。
これにしようと決めて、彼女がいろいろなおみやげを見ている隙にこっそり購入してみた。
彼女も1つ、自分でお化け屋敷のマスコットキャラ(らしい)のハンドタオルを購入していた。
そうして店を出たところで、僕は彼女に今買ったばかりのプレゼントを渡した。
「あの……これ」
「…………え?」
驚いた顔で僕を見る。
「えっと、さっきお化け屋敷の前でさ、ドクロあげられなかったし……代わりにはならないかもしれないけど」
「え、えぇ!? そ、そんな、川野辺くんが悩むことじゃないじゃないですか~!」
「で、でも、せっかくだし、もらってくれるとうれしい! ……です」
全力で断りそうな気配の黒井さんに、僕は顔を真っ赤にしてうつむいて言った。自分でも恥ずかしい……。
少し間があって、黒井さんが小さな声で言った。
「……じゃあ、あの、いただいちゃいますぅ……。ありがとうございます……」
僕の手からそれを受け取る。顔を上げると、少し赤くなっている黒井さんの顔が目に入った。
「あ、あの、開けてみていいですか?」
「あ、うん! もちろん!」
黒井さんがそっと包みを開けると、さっきのグラスが顔を覗かせた。
それと同時に、彼女の顔がぱぁっと明るく輝いた。
「わぁ……! ステキですぅ……!」
――~~~~ッッ!!
ステキなのはおまえだちくしょうっ!!!!
なんてまぁ言えるわけもありませんが。その表情はとてつもない破壊力だった。
「川野辺くん、本当にありがとうございます!」
笑顔をボクに向けてくる。僕はもうまともに彼女の顔を見られなかった。
「い、いや、本当……気にしないで……」
――1つ、確実にわかったことがある。
僕は、彼女のことが、本当に好きになってしまったんだと。
「じゃ、じゃあ、次、どこ行こうか!」
次に向かう場所を考えながら2人で歩き出した――その時。
「キャッ……!?」
突然、黒井さんが体勢を崩して、前のめりに転んだ。
「だっ、大丈夫!?」
大慌てで駆け寄る僕。
しかし、受け止めるとかできなかったのか! 僕ってダメなヤツ!
「大丈夫!? 怪我とかしてない!?」
黒井さんは上半身を起こすと、悲しそうな顔をして僕を見た。
ま、まさか、どこか怪我した!? 女の子に怪我させるとか、本当にダメダメだ!
――と、ショックを受けていた僕に、黒井さんは首を降って小さく声を漏らした。
「大丈夫――大丈夫ですけど……大丈夫じゃないんですぅ~……」
ちょっと言ってる意味がわからない。けど、大丈夫じゃないの!? ど、どうしよう! もう僕が責任を取って――!
「グラスが…………」
「え?」
見ると、先ほど僕が買ったグラスの入った箱が見事に潰れてしまっていた。これでは中身が無事なはずもない。
「あー……」
思わず溜息交じりの声が漏れる。その声を聞いてか、
「ごっ、ごめんなさい……!」
と、酷くショックを受けた様子で黒井さんが謝ってきた。
「い、いや、まぁしょうがないよ!」
僕は慌ててそうフォローをするが、黒井さんは本当に悲しそうで――、
「せっかく川野辺くんに買ってもらったのに……ごめんなさい……」
そんな風に小さくなってしまっている黒井さんもかわいいなぁ。ドジっ娘なのもありだなぁ。いいなぁ――なんて思ってる僕はダメな人間ですか。
「怪我がなくてよかったよ。そんな高いものでもないし、もう1個買うよ」
僕が笑ってそう言うと、彼女は驚いたような困ったような表情をした。
「でも……せっかく貰った物を、私のせいで割れちゃったのに、また買ってもらうなんて――……」
「気にしないで! 僕がそうしたいだけなんだから!」
断ろうとする黒井さんに、僕は強くそう言った。
本当に、彼女にそうしてあげたいって思ってるんだ。だから、断らないでほしかった。
その気持ちが伝わったのかどうかはわからないが、黒井さんは困ったように笑った。
「ごめんなさい。本当にありがとう……!」