グローリ・ワーカ 第23章:全ての祈り
人間界――
「あれ? あの光は……?」
深夜。エレクトロニカという国にあるルクスの町で、リナは空を見上げた。
珍しい地守月のおかげで眠れず、ずっとベランダに出ていた。そこで、月明かりの下、本を読んでいた。
暫くそうしていたのだが、突然、空から先ほどとは比べ物にならないほどのまばゆい光が降り注いだ。
眩しいが、それよりも感じる心地よさ。そして、その光はなぜか彼女に懐かしさを感じさせた。
「ホワちゃん――マニュアは、無事?」
なぜか、ふと、彼女――マニュアのことが心配になった。
この町で冒険者は嫌われていた。けれど、同じ冒険者でも、彼女たちは違った。ただ傷付けるだけの冒険者ではなかった。
リナはいつまでも冒険者を嫌っているばかりではだめだと思っていた。そして、その気持ちは、彼女たちに出会ったことで確信へと変わった。
「ホワちゃん。ホワちゃんたちのおかげで、私、確信が持てたんだよ。だから、平和になったら、きっとまた遊びに来てね。今度は受け入れさせてみせるから」
空を見上げたままそう呟いて、静かに微笑んだ。
「どうか、無事で」
同じ町で。彼らもまた、その光を目撃していた。
「なんだ? あの光――」
それは、ニールがいた盗賊団の仲間たち。
小さな公園にいた彼らは、空を睨んで立ち止まった。
「なんか……不思議な光だね……」
盗賊団の1人――シェドが言った。
その光を見上げたまま、ユルも言う。
「そうだな……。なんかよくわかんないけど、なぜか、あいつを思い出さないか?」
「……ニール……」
リーダーのキースが、なぜか不思議と頭に浮かぶその姿の名前を呼んだ。
「無事だといいな」
ユルが柔らかく微笑む。
キースが頷く。
シェドは笑って言った。
「ニールなら、きっと大丈夫だよ」
キースもそれに同意して、
「あぁ……きっとな。もしかしたら、今頃、魔王を倒してるかもしれねーな」
なんて歯を見せて笑いながら言った。
「俺、あいつらが勝てるように、この光に願うよ」
ユルの言葉にシェドも頷き、
「そうだね。……それにしても、あいつらから連絡来なかったね」
と、余計なことを言い出したのだった。
キースは見るからに落ち込んでいる。
「…………あぁ、そうだな」
ユルは慌ててシェドに、
「ばかっ! 余計なことを……! しかも、キースは何気にあの娘――マニュアだっけ? をそれなりには気に入ってたっぽいから余計落ち込んじまうだろうが!」
と、さらに余計なことを言うのだった。
「ユル……シェド……。今すぐその口を閉じろおおおおおおおお!!!!」
「「わー! キースが怒ったー!!」」
――こんな時もにぎやかな盗賊団の3人なのであった。
――同じく、ルクスの町で。勇者を知る者が祈っていた。
「アルト…………」
それは、アルトの実母だった。
「アルト、今、どこにいるの? ヘイズルさんのところのお嬢さんが探しに出てくれたと聞いたけれど……。――必ず、生きて顔を見せに帰ってきて……」
光を見つめて呟く。
「もし、どこか別の場所で暮らしていたとしても、あなたはいつまでもお母さんの娘だから」
そうして、娘の無事を祈っていた。
人間界――
「あれ? あの光は……?」
深夜。エレクトロニカという国にあるルクスの町で、リナは空を見上げた。
珍しい地守月のおかげで眠れず、ずっとベランダに出ていた。そこで、月明かりの下、本を読んでいた。
暫くそうしていたのだが、突然、空から先ほどとは比べ物にならないほどのまばゆい光が降り注いだ。
眩しいが、それよりも感じる心地よさ。そして、その光はなぜか彼女に懐かしさを感じさせた。
「ホワちゃん――マニュアは、無事?」
なぜか、ふと、彼女――マニュアのことが心配になった。
この町で冒険者は嫌われていた。けれど、同じ冒険者でも、彼女たちは違った。ただ傷付けるだけの冒険者ではなかった。
リナはいつまでも冒険者を嫌っているばかりではだめだと思っていた。そして、その気持ちは、彼女たちに出会ったことで確信へと変わった。
「ホワちゃん。ホワちゃんたちのおかげで、私、確信が持てたんだよ。だから、平和になったら、きっとまた遊びに来てね。今度は受け入れさせてみせるから」
空を見上げたままそう呟いて、静かに微笑んだ。
「どうか、無事で」
同じ町で。彼らもまた、その光を目撃していた。
「なんだ? あの光――」
それは、ニールがいた盗賊団の仲間たち。
小さな公園にいた彼らは、空を睨んで立ち止まった。
「なんか……不思議な光だね……」
盗賊団の1人――シェドが言った。
その光を見上げたまま、ユルも言う。
「そうだな……。なんかよくわかんないけど、なぜか、あいつを思い出さないか?」
「……ニール……」
リーダーのキースが、なぜか不思議と頭に浮かぶその姿の名前を呼んだ。
「無事だといいな」
ユルが柔らかく微笑む。
キースが頷く。
シェドは笑って言った。
「ニールなら、きっと大丈夫だよ」
キースもそれに同意して、
「あぁ……きっとな。もしかしたら、今頃、魔王を倒してるかもしれねーな」
なんて歯を見せて笑いながら言った。
「俺、あいつらが勝てるように、この光に願うよ」
ユルの言葉にシェドも頷き、
「そうだね。……それにしても、あいつらから連絡来なかったね」
と、余計なことを言い出したのだった。
キースは見るからに落ち込んでいる。
「…………あぁ、そうだな」
ユルは慌ててシェドに、
「ばかっ! 余計なことを……! しかも、キースは何気にあの娘――マニュアだっけ? をそれなりには気に入ってたっぽいから余計落ち込んじまうだろうが!」
と、さらに余計なことを言うのだった。
「ユル……シェド……。今すぐその口を閉じろおおおおおおおお!!!!」
「「わー! キースが怒ったー!!」」
――こんな時もにぎやかな盗賊団の3人なのであった。
――同じく、ルクスの町で。勇者を知る者が祈っていた。
「アルト…………」
それは、アルトの実母だった。
「アルト、今、どこにいるの? ヘイズルさんのところのお嬢さんが探しに出てくれたと聞いたけれど……。――必ず、生きて顔を見せに帰ってきて……」
光を見つめて呟く。
「もし、どこか別の場所で暮らしていたとしても、あなたはいつまでもお母さんの娘だから」
そうして、娘の無事を祈っていた。